第2章 ご注文はメイドですか?
縁の告白と新たな依頼
「お~い、朱音? 意識はあるかい? 」
うん、意識はあるんだけどいきなりのことだったから思考が停止してるだけです。
「橘先輩…。今の発言はどういうことかな💢」
わぁ~っ、美鈴が鬼の様な形相で縁を睨んでるよ…。
「ん? いや、そのまんまの意味なんだけど…」
そのまんまの意味だったのか…。つまり縁は……。
「おにぃは私のです。橘先輩に譲ったつもりはありません」
そういって縁を睨むと
「私だって朱音のことが好きだってだけじゃないか、誰を選ぶかは朱音が決めることなんだから誰が朱音の恋人に立候補しても問題ないだろ? 」
「確かにそうだけどぉぉ~! 」
美鈴が頬を膨らましながら唸っていた。
◆◇◆◇
「朱音」
「おにぃ」
「「あ~ん♥」」
家に帰って食事を用意してテーブルについた途端向かい側に座る2人が俺の口元に箸を持ってくる。
「いや、あの…。1人で食べられるから」
そういって自分の箸で料理を取って食べる。
「ん~、もぉ~おにぃ💢どうして食べてくれないの! 」
恥ずかしいからです。
「そういえば朱音、明日からは普通に部活があるからな? 目安箱を確認してから部室に来てくれよ♪ 」
その後も2人のアピールは続いたけど何とか無事1日が終わった。
◆◇◆◇
「それじゃあ、今日のHRはこれで終わりみんな気をつけて部活頑張ってね! 」
そういって加藤先生が手を振って教室を出ていく。
「朱音、目安箱を確認しに行くんだよね? 私も一緒に行くね♪ 」
そういってリーシャが腕を組んできた。
「あっ、あのさリーシャ…。その…」
「知ってるよ、昨日橘さんからも告白されたんでしょ? 美鈴ちゃんが今朝怒ってたから知ってるよ♪ あのね、朱音が好きなのは美鈴ちゃんや橘さんだけじゃないんだよ? それより目安箱を確認しなくちゃだね! 」
そういって腕を引っ張っていく。
「あのさ、腕を組む必要ってあるのかな?」
そういうとリーシャは頬を膨らまして
「そういうのは気にしなくていいんです」
そういって俺とリーシャは腕を組んだまま目安箱を確認に向かった。
「お疲れ~っ! 」
「お疲れさま~! 」
目安箱から依頼書を回収して俺とリーシャはよろず部の扉を開けるとそこには加藤先生と生徒会メンバー、それと3年生の青いリボンをつけた女生徒が居た。
「やぁ、お疲れ♪ 早速だけど…」
「先生が絡むと面倒なことになりそうなんだけど…」
縁が内容を話す前に俺がそう呟くと加藤先生は頬を膨らまして
「わっ、私じゃないもん! 今日の依頼主は前生徒会長の
そういって加藤先生は3年生の女生徒を指差す。
「こんにちは~っ、今日はね新生よろず部にお願いがあってきたの♪ 」
そういって俺とリーシャを指差して微笑んでくる。
「ねぇリーシャ、嫌な予感しかしないのは俺の気のせいなのかな? 」
そうリーシャに尋ねるとリーシャは苦笑いをしながら
「多分気のせいじゃないと思う、あの人って結構無茶なことを可能にしてきて、そのうらにはよろず部が…っていうか橘さんが何かやってるって一時期、噂になってたから…」
俺が縁を見ると縁は困った顔で頷いていた。
マジか…。縁がかなり困った顔をしている。
「どんな依頼なんですか? 」
そう尋ねると縁は驚いた顔をしたあと頭を抱えてしまった…。
俺、何かやっちまったのか?
「本当! 私の依頼聞いてくれるの? ありがとう♪ それじゃあお願いするね♪ 」
えっ! いつのまに俺は依頼を受けたことになってるの!?
縁は虚ろな目で俺を見て俺を見ていた…。
「あのねぇ~っ、実は文化祭が近いんだよねぇ~っ、それでね私たち旧生徒会と新生徒会で一緒に喫茶店をやるんだけどよろず部のみんなにも手伝ってほしくて…。いいかな?」
俺とリーシャはお互いの顔を見合わせ
「「俺達は大丈夫ですよ? 」」
その返答を聞いて綾先輩は頷いて
「言質とったからね♪ 縁ちゃんもよろず部の部員2人が頷いたんだから絶対手伝ってね♪ それじゃあ♪ 」
そういって綾先輩は教室から出ていってしまった…。
「バカ! お前たちはバカだ! どんな喫茶店かも聞かないで私は絶対嫌だぞ『メイド喫茶』なんて! 男は執事の格好をさせるって言ってたぞ! 」
んなぁっ! 『メイド喫茶』ですと!
俺は生徒会メンバーを見るとみんな静かに頷いていた…。
「俺も参加しなきゃいけないの? 」
自身を指差し確認すると美鈴は目を輝かせながら頷いて
「おにぃの執事姿、しっかり写真に納めとくからね♪ うわぁ~っ、今から楽しみ! おにぃにお嬢様って言ってもらえるんだよね♪ 」
1人違う世界に旅立っていた。
「うぅ~っ、あんなフリフリした可愛らしい服を私が着るのか? 無理! 絶対無理! 朱音のバカ! どうして安請け合いしたんだ! あの人はいつも無理難題しか押し付けてこないから本当に嫌なのに! あぁ~っ、どうしよう…どうやって当日学校を休もう…」
ヤバい、完全に縁がグダってる…。縁をここまで精神的に追い込むなんて
「縁、私も一緒だから…。だから頑張りましょ? 」
いつも明るい楓さんも何だかテンションが低い…。
「朱音さん、多分楓さんもテンションが低いのはコレが原因だと思います」
そういって雪ちゃんがフォトブックを俺に差し出してきた。
「えっ! コレ…」
そこには4年前ブームになった『アニーと氷の女王』の衣装を着た楓さんと縁が写っていた。
「もう嫌だぁ~! あの人は服飾部の部長も兼任してて自分達の作品を私達に着せて広告塔にするんだ! 」
さらにページを進んでいくとバニーガールだったりチャイナ服さらにはあの配管工の有名な兄弟が活躍するゲームの姫がきているピンクの服を着た縁が写っていた。
「分かっただろ? あの人の依頼、特にこの時期の依頼は受けちゃいけないって…」
縁が虚ろな目で俺の肩に手を置き
「死ぬときは朱音も一緒だからな」
道連れの呪詛を唱えてきた…。
「マジで…? 」
「マジで! 」
俺はこの時、文化祭の晒し者になることが確定した…。
「絶対嫌だぁ~! 」
「私も嫌だぁ~! 」
学校に俺と縁の声が木霊した…。
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