白熱した戦い!
「朱音、やるからには1番を目指すぞ!」
そういって背中をぴったりと合わせて俺と縁はゆっくりと進んでいく。
「あまり無駄撃ちができないからな、慎重にいくよ! 」
そう縁に話しかけると縁も頷いて水鉄砲を構え直す。
高いところから狙うことになり俺と縁は飛び込み台に向かう。
「あっ、朱音! 」
「あっ、たらし先輩…」
親しみを込めた声と殺気のこもった声が聞こえた。
水鉄砲を構えた状態であったらやることは1つ。
「朱音! 」
「真琴先輩! 」
「「撃てぇ~!! 」」
2人のかけ声と同時に互いの水鉄砲を撃つ
「もぉ~っ、朱音ひどいよぉ~!! 」
「たらし先輩は女の子の濡れた姿を見て欲情する変態だったんですね! サイテーです」
俺のポンプ式ショットガンモデルの水鉄砲でずぶ濡れになった真琴たちがブツブツ文句を言っているが俺達は気にせず飛び込み台からみんなの位置を把握する。
競泳プールの端では慶次達と美鈴達が戦っていた。
あっ、どうやら決着がついたみたいだ美鈴と凛ちゃんが嬉しそうにピョンピョン跳ねている。
「う~ん、どうやら美鈴君達が勝ったみたいだね…。それに、あっちはもっと厄介だよ…」
そういって忍とリーシャのペアを指差す。
どうやら、先にやられた忍を盾にリーシャが1人楓さん達と戦ってるみたいだが…。
「楓さん達、やることがエゲつない…。盾にされてる忍の顔面を躊躇なく撃つなんて…」
そういって忍達を見ていると
「なるほど、あの作戦は使えるな! 」
ちょ、縁…。やめてね? 俺を盾にしようだなんて絶対思わないでね!?
そうこうしているうちに、どうやらリーシャが勝ったらしい(最後まで忍を盾にして…)
生き残ったのはリーシャ、美鈴&凛ちゃんペア、それと俺と縁のペアらしい。(忍は死亡扱いなのでカウントしない)
「どうする? 俺達から仕掛ける? 」
そう尋ねると縁は首を振って
「仕掛ける必要なんて無いさ♪ だってもう下まで美鈴君達が来てるからね♪ 」
飛び込み台の下を見ると美鈴達が上を警戒しながら上ってきている。
「それで、どうするの美鈴達」
隣で良からぬ事を考えたのか悪どい顔をしている美鈴に聞くと
「あぁ、この高さからなら落ちても怪我はないと思って…」
あぁ~っ、この子2人を落とすつもりなんだぁ~っ!
……!? なんで俺のスマホがあんな場所に!
俺のスマホが飛び込み台の先端に置かれている。
「なぁ、あれって…」
縁に聞くと
「戦いには犠牲も必要なんだ…」
ちょっ、いくら防水だからって! 俺のスマホを囮に!
そんなことを思っているうちに美鈴が俺のスマホに気づきそれを手に取る。
「フフッおにぃの情報が私の手の中に♪ 」
ヤバい! あれは何かヤバい!
俺が取り返そうと動いた時だった…。
スマホを見た美鈴と凛ちゃんが飛び込み台から飛び降りたのは…。
「うわぁ~っ! 俺のスマホー!! 」
いくらTORUQUだからってさすがに水没はマズイ…。あぁ、きっと死んでしまっただろう…。
「やっぱり私の思っていた通りだフッフッフッ( ´∀`)」
悪どい笑いかたをしているなコイツ…。何をしたんだ?
不思議そうに縁を見つめていると俺の視線に気づいた縁は笑いながら俺のスマホの写真画像をみせてくる。
『スマホ』
みんなと戦いたくない、だから自分達から負けを認めてくれたらキスしてあげる♥俺はみんなの事が大好きだから♥
みんなの事が大好きな朱音からのお願い。
代筆 橘 縁
「うおぉぉぉぉ~いっ! 何を勝手にキスする宣言してんだよ! おまっ、ってかコレは卑怯だろ! 」
縁にそう訴えると縁は少し悔しそうに
「わっ、私だって本当は朱音に私以外の奴にキスをさせるなんて嫌だけど勝つには策も練らなきゃいけないんだ! 」
うわぁ~っ、言い切ったよ! ってか縁だったらキスして良いのかよ!? 冗談でもそんなこと言っちゃダメだろ…。
「この戦い、私達の勝ちだぁ~! 」
そういって縁は嬉しそうに拳をあげる。
「危ない縁! 」
俺は縁を抱き寄せる。
「ふぇっ? 」
縁は間の抜けた声をあげて目を白黒させている。
「あぁ~っ、残念撃たれた! あとは任せたよ縁♪ 」
俺の背中には水風船が直撃してゼッケンは濡れていた。
「朱音! 朱音ぇ~っ! 」
「いや、そんな本当に死んだみたいな演技はしなくていいから! 」
そういって死んだふりをする。
「朱音、仇は私が討つからな! 」
ノリノリだな縁…。
あれ? 何で俺は縁にもたれ掛かるみたいな形で引き摺られてるの…。まさか!?
◆◇◆◇
「朱音の仇~っ! 」
俺を盾にしながら言う言葉なのだろうか?
「朱音とデートをするのは私なのぉ~!」
そういって俺の後ろにいる縁を狙って水鉄砲を撃ってくる。
俺の顔面に当たってるから!
「いや、私が朱音とデートするんだ! 」
2人とも人のことを盾にして攻撃するから当たるはずがない。そして俺と忍は水で撃たれる。正直、早くこの戦いが終わってほしい…。
「「あっ、水が…」」
どうやらお互い水が無くなった様だ…。
「はい終了~! 」
美鈴がそういって俺のスマホを持ってやって来た。
「あっ、マジで!? やっと盾から開放されるの! よかったぁ~! 」
そういって忍は立ち上がって水鉄砲を持って
「人を盾にして! リーシャ先輩、勝つためとはいえやり過ぎですよ♪ 」
そういって構えた水鉄砲でリーシャを撃つ
「そもそもそっちが悪いんじゃないか! 簡単に撃たれて! 1人で勝つにはあの方法が1番良かったんだ! 」
リーシャも負けじと水鉄砲で忍を撃つ。
「何か犬猿の仲って感じだね…」
縁が俺の持っている水鉄砲を取って声をかけてくる。
「縁、俺もお前に1つ言いたいことがある」
そういって縁を見つめると縁は頬を赤くして『なっ、何かな? 』そういって少し挙動不審になる。
「明日の授業終わり、スマホが誰かさんのせいで水没してブッ壊れたから携帯ショップに買いに行くからついてこい、それで弁償しろ! 」
縁は複雑な顔をしたあと頷いて
「デートでいいんだよね? 」
嬉しそうに俺の耳元でそう呟いた。
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