プール掃除
季節外れのプール掃除、掃除が終わった後に使わせてもらえるからって引き受けるのはどうかな? って思った、だって…。
「広すぎだろ! 何だよこのプール! 飛び込み競技用のプールにシンクロ用のプール、それに競泳用のプール! なめてんのかよ! 」
プールで叫ぶと声が良く反響する。
「おにぃ! 口動かすより手を動かして! 」
生徒会メンバーと有志メンバーとよろず部で掃除を行っているので今日のメンバーは俺と縁、リーシャに美鈴それに楓さんに副会長、庶務の雪ちゃん、有志メンバーの慶次に岩清水さんに真琴に五十鈴ヶ丘さんに凛ちゃんに忍という面々だ。
「いや、だってコレ今日で終わるのかよ!」
そう尋ねると俺と一緒に飛び込み用のプールを洗っている縁が
「終わるのかよ、じゃない終わらせるんだ!」
そういって俺にデッキブラシを渡してくる。
「何だよその根性論…」
そう呟いて受け取ったデッキブラシで床を磨き始める。
「フッフッフ、朱音先輩くらえぇ~! 」
何処から現れたのか忍がデカい水鉄砲を構えて俺を目掛けて撃ってくる。
「えっ!? 」
反応が遅れて直撃すると思ったら…。
あれ? かからない…?
不思議に思い目を開けるとそこにはリーシャが立っていた。
「ぐちぐち言ってた朱音に活を入れようと思って来てみたら、コレはどういうことかな? 説明してくれる? 」
目の光が消えたリーシャが俺に尋ねてきた。
「えっ、えっと…。俺が渋々掃除をしようとしていたところに水鉄砲を持った忍が俺を狙って撃ってきた? 」
そういうとリーシャは忍の方に向き直り
「忍さん、そこに座って♪ 」
目が笑ってない…。
「今は何をする時間か理解してますよね? 分かっててこんなことをしているんですよね? 」
忍は床に土下座をして話を聞いている。
「悪いと思ってるんですか? まったく少し自覚が足りないんじゃないですか? そんなんだから、がさつで雄んなのこって言われるんですよ! ガミガミ…」
床に土下座をしている忍が徐々に涙目になっていく。
「ちょっ、ちょっとストッ~プ! リーシャ、言い過ぎだよ! 忍を見て! 涙目になってるじゃん! 注意するのは間違ってないけど限度があるよ! 」
そういって2人の間に立ち、リーシャを説得する。
「うぅ~っ、たしかに言い過ぎちゃった…。忍さんごめんなさい」
そういってリーシャは頭を下げる。
忍はその姿を見て水鉄砲を構える。
「リーシャ先輩」
忍の声でリーシャが顔を上げると…。
『ドシャァァァァ~ッ!! 』
忍の銃が火を…もとい水を吹いた!
「これで許してあげます! 」
ドヤ顔で言ってるけど…。ヤバイな死亡フラグ立ったな…。忍、自業自得です。
「フフッ、フフフフッ♪ ……コロス♪ 」
小さな声で呪詛を唱えると瞳の明かりが消えた目で忍のもとに向かう。
「しっ、忍! 逃げるが謝れ! リーシャがキレた! 」
そう伝えると忍は一目散に逃げていった。
「絶対殺す♪ 」
リーシャは俺の制止を振り切り忍を追って行ってしまった。
「あの2人はあとで罰ゲームだな。さて、3人でやってしまおう! 」
縁の号令と共に俺と凛ちゃんも手を動かして掃除に勤しむ。
◆◇◆◇
「終わったぁ~っ!」
ほぼその声と同時に慶次達の声も聞こえる。たぶんシンクロ用のプールも終わったのだろう。
「おにぃ達、そっちが終わったらこっちも手伝って! 」
競泳用プールから美鈴の声が聞こえる。
「分かった」
そういって俺達はデッキブラシを持って手伝いにいく。
「うわぁ~っ、先輩助けてください! 」
そういって忍が助けを求めてくる。
忍の後ろには彼女が使っていた水鉄砲を構えたリーシャが追っている。
「ちょっ、先輩! 笑ってないで助けてくださいよ! 」
そういってリーシャから逃げ回っている。
「自業自得だ!」
とりあえずリーシャと忍は放置で生徒会メンバーと合流して全員で競泳用プールを洗っていく。
「こういうことも生徒会がやるんですね? 少し以外でした。櫻ヶ丘だと主に1年生にやらせてたんですけど」
隣に居る楓さんに声をかけると彼女はリーシャと忍の追っかけっこを見ながら
「だって面白いじゃないですか♪ 机にかじりついていたって生徒の事は分かりません! みんなに楽しく学園生活をおくってほしいなら、まずは私達が楽しまなくちゃですよ♪ 」
そういって何処から取り出したのか水鉄砲が握られていた。
「楓先輩~、終わりましたぁ~! 」
美鈴が楓さんに報告にくる。
「それじゃあ、思いっきり遊びましょう!」
そういって水鉄砲を縁に向けて引き金を引く。
「朱音さんも水鉄砲いっぱいあるから使ってね♪ じゃ! 」
そういって水鉄砲を構えたまま雪ちゃんと2人、水鉄砲を構えてリーシャ達に突撃しに行く!
「朱音、私の背中は任せたぞ! 」
縁が水鉄砲を掴んで楓さん達を狙いに行く。
マジでか…。掃除も終わったし、たまには良いか! 俺も置かれているポンプ式の水鉄砲を拾いあげて、縁に続く。
「おっ、みんな水鉄砲でサバゲーか? それじゃあコレ着てやろうぜ! 」
そういって慶次が濡れると色が変わるゼッケンを渡してきた。
「用意が良すぎだろ? 何処にあったんだよ? 」
慶次に尋ねると慶次はプール倉庫を指差す。
「マジか…。でもあるんなら使った方が楽しいもんな! みんな集まって!」
そういって掃除をしていた副会長以外のメンバーが揃った。副会長は家の用事があると言って帰ってしまった。
「2人1組でペアを組んでサバゲーね!」
ゼッケンを渡して大まかなルールを説明する。
ペアは以下の通りになった。
楓さん、雪ちゃんペア
忍、リーシャペア
慶次、岩清水さんペア
真琴、五十鈴ヶ丘さんペア
美鈴、凛ちゃんペア
俺と縁のペア
それぞれ場所を移動して水鉄砲に水を入れる。
範囲はプール内、そして重要なのは水鉄砲への給水は最初の1回のみ!
「それじゃあ、スタート! 」
プールでのサバゲーが始まった!
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