朱音と忍と凛ちゃんと…(6日目)
「まったく、朱音は美鈴君に甘いんだから💢」
朝、俺のベットに飛び乗り俺の上に乗っかる縁が不満そうに文句を言ってくる。
「いや、そのゴメン? あと縁、起きたいから降りてくれるかな? 」
そういうと縁は俺の上から降りてくれる。
「あのな朱音、本当は私も朱音と一緒に踊りたかったんだぞ! それなのに朱音は美鈴君と踊ったあと『疲れたぁ~』とか言って部屋に戻って寝ちゃうんだから! 」
そういって縁が不貞腐れている。
「そうだったんだ…、それはゴメン」
そういって謝ると縁は頬を膨らまして
「本当に分かってるのか? もぉ~」
と言って俺の頬をつついてくる。
「それより、どうするの朱音と橘さん! そんなところでイチャついてないでしっかり齋藤さんの依頼について考えますよ!今日は授業もお休みで時間はたくさんあるんだから」
そういってリーシャは俺の腕を抱き寄せて自分の隣に俺を座らせる。
「リーシャこそ朱音とイチャイチャしないでほしいな💢」
そういって縁が俺とリーシャの間に無理矢理入ってくる。
「狭い! 狭いから橘さん! 」
そういってリーシャが縁に文句を言うと縁はリーシャを見て
「そういって私を押し出して朱音とイチャイチャするつもりでしょ! そうは、いかないんだから! 」
そういって俺の腕に抱きついてくる。
これ以上、ここに座っていると2人がヒートアップしてしまうと思ったので俺は席を立ち上がり向かいの席に座る。
「2人が一緒に座れば問題ないだろ? それじゃあ凛ちゃんの依頼の解決法を考えるとしますか」
そういうと縁とリーシャは頬を膨らまして
「「朱音はさぁ~、もう少し身近にいる可愛い女の子を気にかけるべきだと思うんだよね」」
2人はそういって俺をジトーっと見つめていた。
◆◇◆◇
「ってことがあって居づらくなったから来ちゃった♪ 」
忍と凛ちゃんに伝えると
「来ちゃった♪ じゃないですよ! 何で僕たちのところに来るんですか! 他に行くところないんですか? ってかなんで笑ってるんですか! 」
そういって忍が身体を揺すってくる。
「いや、このあいだといい、ここ最近お前が私って自分のこと言ってたのに素に戻ったのか僕って言ってるからおかしくなって…ゴメン笑うつもりは…」
そういうと忍は顔を真っ赤にして
「それは気づいていても言わないのが優しさじゃないのかよ! 先輩の鈍感!KY! 」
KYとか死語だろ…と思ったけど言わないようにした。
「でも何でここに来たんですか? 」
布団を被りながら凛ちゃんが不思議そうに尋ねてくる。
「う~ん、単純に気心のしれた後輩と依頼人が居るから話を聞くついでに避難してきたって感じかな? 」
そういうと2人は笑いながら俺を見ていた。
「まったく先輩は…、それじゃあ暇ですしポーカーでもやりますか? 」
そういって忍がトランプを出して配り始める。
「えっ、あっ、その私もやっていいんですか? 初めてなんですけど…」
凛ちゃんがそう尋ねてくるので『もちろんだよ』と伝えてトランプを渡す。
「それじゃあ初めは僕が親だからね! 」
こうしてポーカーが始まったのだが…。
「ロイヤルストレートフラッシュ…嘘だろ…」
「僕も初めて見た…」
「そんなにスゴいんですか? 」
スゴいもなにもさっきからビギナーズラックなのか『フルハウス』や『ストレートフラッシュ』とかを出してくるから正直凛ちゃんの1人勝ちだ…。忍はと言うと
「もう1回! もう1回勝負しよ♪ 」
どうやら立て続けに負けて悔しいらしくもう1回、もう1回と言っている。
駄々っ子かこいつは…。
それから何度ポーカーをしただろうか? 時計を見ると12時を指していた。
「ご飯食べに行こっか」
2人にそう言うと凛ちゃんは頷いて
「はい、行きましょう」
と言ってくれるのだが忍は1度も勝てなかったのが悔しいのか
「もう1回! もう1回だけ! 」
と駄々をこねるので負けたらご飯にすることを伝えてポーカーを3人でする。
◆◇◆◇
「おかしい、おかしいです先輩! 何で『ストレートフラッシュ』で勝てないんですか!」
さっき凛ちゃんに負けたのが悔しいのか食事中もブツブツ文句を言っている。
「何で勝てなかったのかって? 凛ちゃんが忍より強い『ストレートフラッシュ』だったからだよ」
そう忍は4~8の♦のストレートフラッシュで凛ちゃんは6~10の♠のストレートフラッシュだった…。ちなみに俺は役なしだった。
「あっ、あそこ席が空いてますよ♪ 行きましょう! 」
そういって凛ちゃんは俺の腕を掴んで空席を指差す。
「そうだね♪ 今日はお昼、何を食べようかな…」
そういってメニュー表を見ると肉料理はトンテキ魚料理は舌平目のムニエルになっていた。
「う~ん、どっちも美味しそうですね♪ 」
そういって凛ちゃんはどちらの料理にするか迷っていた。
「私は肉にし~よぉ♪ 」
忍はそういって料理を取りに行ってしまった。
「どっちにするか決まった? 俺、どっちも食べてみたいから凛ちゃんさえ良ければ半分こにしない? 」
困ってる様子だったのでそう提案すると彼女は嬉しそうに頷いて俺の腕を引きながらカウンターに向かった。
◆◇◆◇
「スゴい! スゴいですよ先輩! この舌平目のムニエル! すっごく美味しいですよ! 」
凛ちゃんが興奮しながら隣に座る俺の腕をパタパタと叩いてくる。
「そんなに美味しいの? 僕もそっちにすればよかった…。先輩、一口ちょーだい? 」
そういって忍が口を開けて俺を見つめてくる。
「それはどういう意味かな? 」
忍に聞くと
「いいじゃないですか! 前の高校ではア~ンってしてくれたじゃないですか! 」
あの時はお前のこと男だと思ってたし罰ゲームでやっただけだろ!
俺がそう思っていると忍が
「女の子だって意識しちゃったら出来なくなっちゃったんですか? 先輩可愛い! 」
人をからかうように笑いやがって忍の野郎…。
「使った箸だったから忍が気にすると思ったけど気にしないなら…。ほらっ! 」
そういって箸で摘まんだ舌平目のムニエルを忍の口に運ぶ。
「えっ、ふぅぁっ…」
忍は驚いて目をぱちくりさせている。
「どうしたんだよ? 言われた通りにしたんだけど…」
そういって忍を見ると
「あっ、うん…」
と言って黙ってしまった。
気を取り直して食事を再開しようとすると服の裾を引っ張られる。
「先輩、私もして」
そういって凛ちゃんが口を開けて俺を見つめてくる。
「分かったよ、ほらア~ン」
そういって凛ちゃんにも食べさせてあげる。
すると凛ちゃんは顔を真っ赤にして俯いて
「嬉しい♪ 」
といって腕に抱きついてきた。
周りの男子達は物凄い形相で睨みつけていた。
すると凛ちゃんと同じクラスの友達なのか女の子達がやって来て凛ちゃんに何か耳打ちをしている。
「ちっ、違うよ! 先輩はそんなんじゃ…」
顔を真っ赤にして首を振っている。
「凛ちゃんの友達? 凛ちゃん、人見知りだけど仲良くしてあげて♪ 」
そういって頭を下げると女の子達は凛ちゃんを見て『お幸せにね♪ 』といって
「もちろんです彼氏さん♪ 齋藤さん、ヨロシクね♪ 」
そういって彼女達は手を振って部屋に戻っていった。
「今、彼氏って…」
凛ちゃんに聞くと
「しっ、知りません! 」
凛ちゃんは恥ずかしそうにご飯を食べ始めたので俺も食べることにした。
「「あっ! 朱音! どこに行ってたの! 」」
騒がしい2人がやって来た。
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