依頼完了! (7日目)
「さてさて、昨日は逃げるとか卑怯な真似をしてくれちゃったけど今日は、そう上手くいかないからな♪ 」
そういって縁は俺の腹の上に跨がっている。
「あの~っ、これはどういう状況なのかな?」
縁に話を聞くと
「だって昨日逃げたでしょ? だから逃げられないように乗っかってるの♪ 」
いやぁ~っ、その考え方はどうかと思うよ…。
「そういえばリーシャは? 」
いつもだったら助けてくれるリーシャの存在を確認する。
「あぁ、リーシャ君なら『家に帰ったら温泉に入れないなぁ~、橘さん私温泉に入ってくるね♪ 』と言って朝風呂に行ったよ♪ だから部屋には私と朱音の2人きりだよ♪ 」
そういって笑顔で笑いかけてくるけど
「やっぱりそういうことをするために残ったんだ…」
縁の後ろにはリーシャが腕を組んで仁王立ちしていた。
「あれ? 早かったね? 」
いや、そういうことが聞きたかったわけじゃないと思うぞ…。
◆◇◆◇
「まったく油断も隙もないんだから」
そういってリーシャが縁を俺の上から降ろす。
「朱音と2人にさせられないから朱音、お風呂に行こう♪ そうすれば橘さんもさすがに男湯に入れないから! 」
そんなこんなで俺と縁とリーシャ3人でお風呂に行くことになった。
◆◇◆◇
「おぉ~っ、めっちゃ温まる! 朝風呂なんてしたことなかったからな…。目が覚めるよ♪ 」
のんびりと湯船に浸かっていると隣の女湯が騒がしくなる。
「ちょっと浜岡さん!最初に体を洗ってから湯船に浸かってください! ちょっと橘さんは湯船で泳がない! 美鈴さんは露天風呂の柵を登ろうとしないでください! どうして落ち着いてお風呂に入れないんですか? 」
呆れた声でリーシャがみんなに注意をしている。
大変そうだなぁ~っと思いながら外の露天風呂を見ると柵から上半身出した状態の美鈴と目が合った…。
「おにぃ~、やっほー! 」
やっほーじゃないだろバカ!
「リーシャ! 美鈴をそっちに連れてってくれ! 」
俺が向こう側に居るであろうリーシャに声をかけると
「美鈴さん! さっきもダメって言ったじゃないですか! ほらっ、降りてって! ちょっと! 朱音! そっちは朱音だけ? 」
なぜそんなことを聞いてくるのだろう
「あぁ、俺だけだよ? 」
そう伝えるとリーシャが唸る声が聞こえて
「ごめん朱音、美鈴さん限界みたい…。このままだと怪我しちゃうかもだからそっちに行かせるから受け止めてあげて! 」
何故そうなった? 理解は出来ないが何かしらあったのだろう…。
「しょうがない。ほらっ」
そういって美鈴が身を乗り出してる所に行き腕を広げる(もちろんタオルは腰に巻いてます)
「おっ、おにぃ…。ちゃんと受け止めてね? 絶対だよ! 」
そういって美鈴が柵の向こう側から俺に飛び付いてくる。
「おまっ、飛んでくるなよ! 床濡れてるんだから滑っ…」
受け止めきれず美鈴を抱えたまま湯船に倒れた。
◆◇◆◇
「馬鹿! お前は本当に馬鹿だな! 何で飛び込んで来るんだよ! 床濡れてるから危ないって気づけよ! 運良く湯船に倒れたから良いものの床に倒れてたら死か骨折だったぞ! 少しは考えろ馬鹿! 」
美鈴に注意をすると美鈴は泣きながら『ごめんなさい』と謝ってくる。
「分かれば良い、だけど早くタオルを…。リーシャまだ? 」
背中には裸の美鈴が居る。
タオルは、こっちに飛び込んでくる時に女湯の方に落としてきてしまったらしい…。
子供の時と違って大きくなっていた…。(いや、だからって義妹の裸を見て興奮とかダメだろ俺! )
「どうしたのおにぃ? 何だかガンガン音がするけど? 」
それは俺が煩悩を祓ってる音です。方法は俗に言う頭ガンガンです。
「ねぇ、おにぃと一緒に入るのって、いつ以来だっけ? 」
後ろから美鈴の声が聞こえる。
「美鈴が家族になったのが小学3年で、確か1人で入れる様になったのが小学5年の冬だったから…。それからは別々だな」
そんな話をしていると向こう側から石鹸を包んだタオルが投げ込まれた。
「ほらっ、タオルしなよ。それより向こうに戻らなくちゃだよな…。どうするか? 」
そういって湯船から上がろうとすると美鈴が腕を掴んでくる。
「嫌っ、あと少しここで一緒に居たい…」
そういって俺が湯船から上がるのを邪魔してくる。
「あのなぁ、そもそもここは男湯なの! 美鈴が居たらマズいんだって! それにお前がタオル1枚の姿を他の奴に見せるわけにはいかないだろ! 」
そう言うと急に腕を掴む手の力が弱まった。
「そっか…、おにぃは私の裸を他の人に見せたくないんだ♪ つまりこの姿の私を独占したいんだね? 」
何故嬉しそうにするのだろう? 当たり前だろ? 裸姿の美鈴と俺が一緒に男湯に居たら怪しまれるだろ! 特にこのお風呂乳白色だし…。下手したら退学ものだろ! (主に俺が…)
「そりゃあ当たり前だろ? だから早く向こうに戻る方法を考えるぞ! 」
そう言うと美鈴が背中に抱きついてきて
「ありがとうおにぃ、いつも私のことを思ってくれて…。だからね、だから私おにぃのことが好きになったんだよ♪ そのことは多分これから先なにが遭っても絶対に変わらないから♪ だから絶対私のことを好きにさせてみせるから! チュッ♥」
そういって俺の唇を奪って、お風呂の桶をピラミッド状に積み上げて柵を越えていってしまった…。
何だかここ最近美鈴に気持ちを振り回されてばっかだ…。
「あぁ~っ、もうどうしろってんだよ! 」
湯船に顔を突っ込み叫んだら、入ってきた慶次に不思議な目で見られてしまった。
◆◇◆◇
お風呂を上がり着替えて外に出るとそこには牛乳とフルーツ牛乳を持った縁が居た。
「朱音、飲む? 」
そういってフルーツ牛乳を渡してきた。
「朱音は美鈴君のことをどう思っているんだい? 」
いきなりその話かよ!
「美鈴君がどうしてここ最近積極的になったのか分からない訳じゃないだろ? 」
いいえ、本当に分からないんです。
縁は俺の顔を見て分からないことに気づいたのか
「はぁ~っ、不本意ながら説明するよ…。彼女、美鈴君はこの間、勇気を出して君に告白をしたよね? 美鈴君は異性として君のことが好きだって、なのに朱音は何の返事もしないで家族として接して無かったことにしようとしてる! だから焦って美鈴君は朱音に猛アピールをしてるんだ!それぐらい彼女の気持ちを理解しろ! 」
縁は、そういって俺の頬をグニグニとつねってきた。
「じゃあどうすれば良いのさ? 」
縁に尋ねると縁は悔しそうな顔をして
「美鈴君を1人の女性として見てあげるんだ! ただ、彼女の言ってた通りすぐに返事はしなくて良い。ただ家族としてではなく今度からは1人の女性として接すると伝えてくるんだ。そしたら多分彼女も落ち着くと思う。いいか? 絶対だからな! 」
そういって縁が背中を押してくれる。
「分かった、とりあえずそれだけ伝えてくるよ! ありがとう」
そういって卓球を見ている美鈴に伝えると美鈴は悔しそうな顔をして
「橘先輩は何でも知ってるんだね…。スゴいんだけど何か腹立つ! だから正々堂々温泉卓球で勝負よ!」
そんなこんなで卓球大会が始まった。
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