やっぱりそうだったんだ…(4日目)
「おはよう…。昨日は鼻の下伸ばしてリーシャさんとお楽しみだったみたいだね♪ 」
美鈴、顔は笑ってるけど目が笑ってないからね…。
「誤解だって昨日から言ってるじゃん! だから昨日はリーシャの泳ぎの練習を手伝ってやってたんだって! 」
そういうと美鈴は隣にいるリーシャを見ながら
「へ~っ、単なる練習なのにこんな風に指を絡めながら手を握って練習をするんだ? 」
そういってリーシャと俺を交互に見比べて
「そりゃあ泳げないんだから手を握って手伝うのは普通だろ」
そういうと美鈴は頷いて
「分かったよ…。ど~せおにぃは気づいてないんだろうなぁ~って思ったけど案の定だった…」
何故か因縁をつけてきた美鈴に呆れられてしまった…。
◆◇◆◇
朝食も食べ終わり席を立とうとすると
「おにぃ、ちょっと待って! 橘先輩、約束覚えてますよね? 」
そういって美鈴は俺と縁を見つめてくる。
「あぁ、たぶんあの事だね? うん、私に二言は無いよ♪ 」
そういって隣に座る俺を見つめてくる。
「うっ、うん? 」
何か分からなかったが、とりあえず同意をしておく。
「分かった、じゃあ報告するね♪ やっぱりレズでした…」
なるほど、1つ目の依頼の話だったのか…。んっ? 約束? ってことは今の状態で俺は美鈴と2人で出掛けないといけないのか!?
「それで依頼人の
縁が美鈴に話を聞くと美鈴は困った顔をして向かいに座る俺と隣に座るリーシャを交互に見て
「実はね、とっても言いづらいんだけど……おにぃとリーシャさんのクラス委員長の真琴さんみたいなの……」
何で俺の周りはこんなにも騒がしいのだろう……。
◆◇◆◇
「どうしようリーシャ…。どう伝えよう…」
リーシャに助けを求めると
「わっ、私だって分からないよ! いきなり五十鈴ヶ丘さんが真琴のことを性的な意味で好きみたいだよ! なんて言えるわけないじゃん! どうしよう朱音」
マジでどうするんだよ! 縁の野郎『2人と同じクラスなんだね? じゃあ伝えるのは2人に任せたからな』なんだよそれ! 完璧丸投げじゃねぇ~かっ! 『真琴といつも会話している五十鈴ヶ丘さんはレズで真琴のこと恋愛対象として見てるよ! 』としか言いようが無いなんて…。まるで戦場に素っ裸でロケットランチャー持って突撃するみたいなことだぞ…。
俺とリーシャは2年F組が使用している多目的ルームの扉の前で深呼吸を1つして扉を開けて中に入り、朝の挨拶をする。
「「みんなおはよう♪ 」」
2人で一緒に教室に入り挨拶をすると男子達(慶次以外)からは殺気の込められた視線と女子達からは残念そうな視線が送られる。
俺は首をかしげながら自分の席に座る。
「今日も熱々だね♪ お二人さん♪ 」
悩みの種が現れた…。俺たちは真琴にどう伝えればいいんだ!
「どうしたの2人して黙って? ……もしかして!? 」
「「今のところ何も無いから! 」」
見事に2人の声がハモりお互い顔を見つめて赤くなってしまう。
「今のところは…? じゃあ今後2人の関係が発展する可能性もあるんだ…」
クラス中の視線が俺とリーシャに注がれる…。
「はっ、はわぁぁぁぁぁっ!!! 」
クラスの視線に耐えられなくなったのかリーシャが真っ赤になった顔を隠しながら席を立ち上がる。
「リーシャ、これから授業! 恥ずかしいのは分かるけどちゃんと授業受けようぜ♪ 」
そういって顔が真っ赤になりながらもリーシャの手を握る。
「うっ、うん…」
リーシャは落ち着きを取り戻したのか席に座って机に突っ伏してしまった。
「みんなぁ~! おっはよぉ~!! 」
朝からテンションの高い先生がドアを開けて入ってきた!
「どうしたのみんなぁ~!朝からテンションが低いぞ♪ みんなは私より良いことしかないんだからもっとテンションあげなくちゃ…グスッ( ノД`)…」
何が遭ったのか聞くべきなのか、みんなが迷っていると慶次がキラーパスを出してきた
「先生、朱音が何か聞きたいことがあるみたいです! 」
うぉぉぉぉぉぃぃぃぃっ!! 何を言ってるんだよ! 慶次!
心の中で慶次に文句を言うが時すでに遅し…。瞳の明かりが無くなった加藤先生が俺に近づいてくる。
「あっ、朱音くぅ~ん! 」
そういって泣きながら抱きついてくる。
「おっ、落ち着いて加藤先生! 」
加藤先生を引き剥がそうとするがしっかり抱きつかれていて引き剥がせない。
「あのね、運命の王子さまだと思ってた博人さんにフラれたの『うぜぇ~んだよ! ババア! 金も貰ったしお前何かに興味ねぇ~んだよ! 』って…。酷いよ! あんまりだよ! こんな私を慰めて! 朱音くんなら優しいしありだと思うの♪ 」
いや、みんなが見てる前で何を言ってるんですか? それに生徒と教師ですよ? みんなも『うわぁ~、なにコイツ』みたいな目で俺を見つめるなって
「無理です! 先生は先生の王子さまを頑張って探してください! 俺は先生の王子さまじゃないので! 」
そういうと先生は俺の胸から顔を離して
「みんな、今日の授業は先生がどうしたら運命の王子さまと遭えるのか考えてもらいたいと思います! 」
今にも泣き出しそうな顔でみんなに宣言する。
「先生、よろず部に依頼すればいいんじゃないでしょうか? 私もよろず部に相談して慶次と付き合うことが出来たから…」
俺とリーシャは互いの顔を見合わせてタメ息を吐くと先生は少し困った顔で
「依頼を出したんだけど、まだ誰も依頼内容を聞きにこないのよ? どうして? 」
俺とリーシャは頭を抱えてタメ息を吐き
「「名前が書いてないし手掛かりが少なすぎる…」」
そして俺はこう思った…。やっぱりそうだったんだ…。
◆◇◆◇
あのあと先生を何とか宥めて通常の授業に戻り、何とか今日の授業を乗りきった…。
「「あっ、真琴に伝え忘れた…」」
俺とリーシャはよろず部の部屋に戻る時に気がついた…。
◆◇◆◇
「それで、のこのこ帰ってきたと…」
そして何故か先生のことを説明した途端に機嫌を悪くして何故か俺だけが怒られている。何故リーシャは怒られないのだろう?
「明日はきちんと伝えてくるんだぞ分かったか! 」
俺には頷く以外の選択肢はなかった…。
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