凛ちゃんの恋心とリーシャの嫉妬(3日目)
「うっ、朝からピーマン…」
俺の横には凛ちゃんと忍が座っていて前には美鈴、その両脇に縁とリーシャが座っている。
昨日あんなに笑うからだ! ざまぁ!
しかし昨日の縁は凄まじかったらしい…。なんでも縁は白装束で頭に蝋燭もどきを立てて藁人形を持って参加者を追いかけ回したらしい『呪ってやるぅ~』と言いながら…。
「うぅっ、やっぱり苦い…」
忍はお皿に盛られたピーマンを牛乳で流し込んでいた。
「あっ、あの先輩! きっ、昨日はすみませんでした! わたっ、私みたいな汚物が先輩に抱きついちゃったせいで皆さんから怒られてしまって…。私、汚いから嫌でしたよね…」
そういって凛ちゃんは申し訳なさそうに謝ってくる。
「そんなことないよ! 凛ちゃんは可愛いんだから! たぶんみんなが怒ってた原因は俺が嫌がってる凛ちゃんに無理矢理抱きついてる様に見えたからじゃないかな? 」
そういって頬を掻きながら苦笑して凛ちゃんを見つめると凛ちゃんは顔を真っ赤にさせてオロオロしている。
テーブルの下では3人に蹴りを入れられる。
「そっ、そんなことないです! むしろギュッてされて私、ドキドキしちゃいました! って私何言ってるんだろ~! 」
俺もいきなり何言われたんだろぉ~! かなりビックリしたよ! 忍がアニメのアイドルに似てるって言ってるだけあって凛ちゃん可愛いから勘違いしちゃうかも! ってか痛いから! 思いっきり足を蹴るなって美鈴!
「あっ、あのですね先輩…。えっと、えっと…。私は先輩にギュ~ッてされて、とっても! とっても嬉しかったです♪ 」
そういって可愛らしい笑顔で俺をチラチラと見つめてくる。
それにともない3人からの蹴りの威力が強くなっていく…。朝食後には青アザまみれになってるかも…。
「斎藤さん達はこのあと何の教科なの? 」
縁が俺の足を蹴りながら話題を変える。
「えっ、わっ、私達ですか? 私達はこのあとホテルのプールを使って水泳の授業です…。確か2年F組と合同授業だったと思います…」
あぁ~っ、確かそんなこと昨日加藤先生が言ってたな……って! マジか! 学校じゃないから男女合同だってクラスの男子達が騒いでたけど……。
「朱音💢」
「おにぃ💢」
「朱音、泳ぎ方教えてくれないかな? 」
「ぐふふっ、可愛い女の子達の水着姿…」
「えっ、朱音先輩F組なんですか…」
なんてかしましい女の子達なんだ…。
◆◇◆◇
朝食も食べ終わり授業の準備のため男子更衣室に入ると
「「おい朱音…。あの可愛い女の子は誰だ? なんでハーレムが増えてんだよ! 」」
クラスの男子達が殺気に満ちた視線を向けてにじり寄ってくる…。
「「スタイル良いし顔も【シンアイ】の鷺沼文香に似てて可愛いし。なんでお前だけあんなに可愛い女の子達に囲まれてるんだよ💢」」
一方その頃女子更衣室では…。
「ぐふふっ、可愛い女の子達の水着姿! 良い!良いよぉ~! 」
「ちょっ、朱音…。忍さんが暴走しないように任せたってこういうことだったの!? 私にどうしろって言うのよ…」
「うぅっ、はっ、恥ずかしい…。こんなんじゃ先輩に嫌われちゃうよ…」
斎藤さんって思ってた以上にスタイルが良い! スク水だとスッゴいピチピチなんだけど!?
「ねぇ忍さん…、先輩ってどんな女の子が好きなのかな…? 」
あれ? これってもしかして…。
「ほら、みんな早くプールに行くよ♪ この林間学校の間は担任の先生が実技授業は受け持つんだから! ほら! 先生の水着姿で男子の視線を釘付けにするんだから♪ 」
那奈ちゃん先生…。ごめんなさいスゴくスク水が似合ってて小学生の高学年にしか見えない…。
◆◇◆◇
「「ほら! あの子だよ! ってかこっちに来たんですけど!? 」」
クラスの男子達の視線の先にはモジモジしながら、こっちにやって来る凛ちゃんが居た。
「あっ、あのせっ、先輩! わっ、私なにかおかしいですか? 何だか色んな人からの視線を感じるんですが…」
そういって潤んだ瞳で俺を見つめてくる。
「いっ、いやそんなことは無いよ♪ たぶん凛ちゃんが可愛いからみんな自然と凛ちゃんを見ちゃうんだよ♪ 」
凛ちゃんのスク水姿はピッチリしていて正直にいうと目のやり所に困る…。
「ほっ、本当ですか? 先輩は私のこの格好どう思いますか?(ふぅぁぁぁ~!! 聞いちゃったよ! 先輩、何て答えてくれるかな? 忍さん! 教えてもらった通り聞いてみたよ! )」
えっ、この質問にはどう答えたらいいの…。そのまんま可愛いと伝えたらいいのかな? でも俺、さっきから凛ちゃんに可愛いしか言ってないよな…。可愛いって言葉が軽くなってないか? だったら…。
「その…、スゴく魅力的でとっても綺麗だと思う…。だから自信を持っていいと思うよ♪」
そう伝えると凛ちゃんは顔を真っ赤にして俯き『あっ、ありがとうございます…。あの…えぃっ!』っと言って俺の腕にしがみついてきた…。
「少しこのままで居させてください! 」
凛ちゃんのクラスの男子と俺のクラスの男子からは殺気のこもった視線が……。凛ちゃんのクラスの女子からは良くやったと労う視線。そして俺のクラスの女子からはまたやってるよと冷めた視線が注がれる……。
俺はどうするのが正解だったのだろう…。
「朱音さん…。どういうことですか? 」
リーシャが丁寧な口調で俺に現状を尋ねてくる。その後ろには『ぐふふっ』と気味の悪い笑みを浮かべる忍がいる。
「さあ、きちんとしっかり説明してもらいますよ♪ 朱音さん…」
リーシャがめっちゃ怒ってる。
「いや、あの、その…」
上手く言葉が出てこない。
「いや、あの、その…じゃ、何も伝わらないでしょ💢きちんと理由を説明しろぉ~💢」
リーシャは思いっきり平手で背中をビチッーンと叩いてくる。背中には真っ赤な紅葉が出来ました。
「あのさ、リーシャ…。まだ怒ってる? 」
俺の手を握りながらバタ足をしているリーシャに声をかけるとリーシャはバタ足をやめて
「当たり前です。朱音は目移りしすぎです!朱音はもっと身近にいる同級生のことを考えるべきです! 」
そういって頬を膨らませる。
同級生で身近にいる人物? 縁のことか?うぅ~ん、さっぱり分からん! とりあえず今はリーシャのことだけを考えよう
「うん、そうだな! リーシャだけを考える! (早く泳げるように手伝ってやらないと! )」
「えっ、あっ、うん…(いっ、いきなり告白? これって告白なの? だけど朱音って案外天然で抜けてる所があるからなぁ~、期待していいのかな? )」
そんな様子を見ていた2年F組の女子達と忍は深いため息を吐いたのは言うまでもない…。
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