病弱な女の子と後輩の雄んなの子
「こんにちは♪ ちょっと齋藤さんに用事があるんだけど良いかな? 」
縁とリーシャは何の躊躇いもなく女性陣の泊まっている階に来てるけど…。
「めちゃくちゃ居づらいんだけど! 」
先を行く縁とリーシャに文句を言うと
「仕方ないだろ依頼人が女の子なんだから」
「そうですよ朱音♪ これもよろず部の仕事の一環だよ! 」
うぅ~っ、2人とも容赦無いな…。
「どうしました? えぇ~っと…」
部屋のドアを開けたのはショートボブの女の子だった…。
「急にごめん、俺たち齋藤さんに用事があるんだけど…」
そういうと女の子は驚いた様子で
「せっ、先輩! なっ、何で朱音先輩が居るんですか! 」
女の子の顔を見ると間違いなく後輩の
◆◇◆◇
「えっ、えぇ~っと何を話せばいいですか? 先輩…」
俺の目の前には男子だったはずの雄んなの子が居た。
「何をって…。まず初めに男子校にどうやって入学したのかとか色々聞きたいけど」
そういって彼女? を見つめると
「先輩は私が野球部だってことは知ってますよね? 」
知ってるも何もそれが忍を知るきっかけだった…。
「私、甲子園に出たかったんです! 櫻高校は学力さえ良ければ他のことは緩かったし…。あとはバレない様にしてるうちに先輩と仲良くなったんです」
はぁ~っ、だから忍はプールや海に行こうと誘っても来なかったし、お腹が痛いと言って個室のトイレを使っていたのか…。今思えば確かに不思議なところはたくさんあったけど、なんだかんだ頼ってくる可愛い後輩だと思っていたんどけど…。
「まさか本当に女の子だったとは…」
俺がそう呟くと縁は頷いて
「そうだなビックリだな。だけど私達は何をしにここに来たんだっけ? その子に会いに来たわけじゃないだろ? 仕事をしよう朱音♪」
そういって部屋のベットで丸まっているもう1人のもとに縁は挨拶をしに行く。
「こんにちは、私は同じ学年の…」
「嘘、2年生。さっきその子が先輩って言ってた! 何の用? もしかしてカツアゲ? 私、お金なんて持ってないよ! それともボッチの私をみんなでいじめるの? 」
どうやら嘘を伝えたせいで警戒されてしまった様だ…。
「君って奴は…」
いや、俺を睨む理由が分からないぞ…。
「ごめんな嘘吐いて…。実は俺たちはよろず部のメンバーでさ…。もうどういう意味か分かるかな? 」
そういって彼女の顔を覗き込むと
「うひゃっ!なっ、ななななななななんですかいきなり! あっ、ああああれですか、顔を見て可愛かったら『俺の女になれ』的なアレですか! ああああ、生憎私はブスなので無理ですよ! 」
ベットから立ち上がり布団を被ったまま彼女は器用に部屋の角に移動する。
「ねぇ、彼女はどんな顔をしてたの? 」
リーシャが横から興味津々な様子で話しかけてくる。
「うぅ~ん、何て伝えればいいのかな…? けど 、何かで見たような顔なんだよな…」
俺がリーシャと話しながら考えていると
「先輩! このキャラに似てなかったですか? 」
そういって忍がスマホの画面を見せてくる。そこには瓜二つとまではいかないがスゴくそっくりなアニメキャラクターが写し出されていた。
「めっちゃ似てる! けどコレは何のアニメ? 」
かろうじてアニメキャラクターだというのは分かったがアニメを観る機会が余り無いので一体なんというアニメのキャラクターなのか分からない…。
忍に何のアニメか聞くと忍の目がキラキラと光った気がした…。
「聞きますか! このアニメはアイドルをプロデュースするお話で……」
ダメだ、何を言ってるのか、まったく分からん…。
「要するにそのアイドルの
いや、余計分からなくなったよ…。
「先輩もシンアイ観たりするんですか? 」
話を聞く限り[シンデレラアイドル]というアニメの略称だとは思うけど…。
「知らないし観たこと無いな…」
そう忍に伝えて、凛に手を差し出す。
「まぁ、みんなお前のために何か出来ないかって頑張ったんだけど空回りしちまったんだけど良い奴たちだから仲良く出来ると良いんだが…。東雲朱音2年生だ。よろしくな♪ それとあんまり自分のこと卑下するなよ? 齋藤さんは自分のことブスって言ってたけど俺は可愛いと思うぞ♪ 」
そういって、つい齋藤さんの頭を撫でてしまうと
「凛、齋藤さんじゃなくて凛って呼んでほしいです朱音先輩…」
俯きながら俺の指先を握ってくる。たぶん握手なのだろう…。
「うん、よろしくね凛ちゃん♪ 」
そういって微笑みかけると
「はっはひぃ! 私こそよろしくです! 」
耳まで真っ赤にして顔を反らすとベットに戻ってしまった…。
「凛ちゃん、今日の夕ごはんから一緒に食べよ♪ 」
そう声をかけると布団がモゾリと動いて
「もっ、もちろんです! 」
と恥ずかしそうな声がする。
「それじゃあ、また夕ごはんの時な! 」
そういって忍と凛ちゃんの部屋を出て気になっていたことを縁とリーシャに聞くことにする。
「ねぇ俺って凛ちゃんから嫌われてるのかな? 顔を覗き込んだあとから一切、顔を合わせようとしてくれなかったんだけど…」
不思議そうに首をかしげると縁とリーシャは、ため息を吐いて
「「教えない」」
と言って呆れた目で俺を見つめていた。
◆◇◆◇
「おにぃのバカァ~! 浮気者~!」
美鈴の部屋に顔を出す開口1番で文句を言われた…。
「何でそんな女の子のところに行って私は後回しなの! バカァ! おにぃのバカァ! 」
おぉ~い、相部屋の確か庶務の雪ちゃんが驚いた顔で俺達を見てるぞ~!
「まったく、そろそろ離れないかな? 」
「そうですよ、そろそろ離れましょう」
縁とリーシャが怒った顔で美鈴を見ている。
何この修羅場…。
「嫌ですよ! おにぃは私のです、私がどうしようが私の勝手です! 」
ダメだ涙目で頬を膨らましてる…。この状態の美鈴は駄々っ子モードで何を言っても話を聞いてくれない…。
「ごめん縁とリーシャそれと雪ちゃん? この状態の美鈴は何を言っても話を聞いてくれないから落ち着くまで俺と美鈴を2人にしてくれないかな? 」
そういって3人を見ると雪ちゃんは頷いて縁とリーシャは渋々頷いて部屋を出ていってくれた。
「おにぃのバカ、スケベ、エッチ、良い格好しい! 何で誰にでも優しくするの? なんで私だけを見てくれないの!私は1度もおにぃのことを家族だなんて思ってない!」
泣きながら本当の妹の様に思っていた存在から家族だなんて思ったことが無いと告げられた…。
「そっか…、じゃあ迷惑だよな…」
そういって美鈴を身体から剥がして立ち上がる。
「ちっ、違うのおにぃ! そういう意味じゃ…」
美鈴は俺の腕を掴もうと手を伸ばしてくるけど…
「無理しておにぃなんて呼ぶなよ♪ 今後はお前に関わらないようにするから…」
そういって俺は、伸びてきた手をするりとかわして部屋から出ていき自分の部屋に戻ることにした。
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