第3章 始まった林間学校
あっという間に林間学校
依頼や学園生活を送ってるとあっという間に週末になり俺たちが林間学校に向かう日になった…。
「2人とも忘れ物ないよね? 忘れたら1週間は戻って来られないからな! 」
奥にいる2人に声をかけると2人は
「「うん、分かってる(よ~)」」
そういって奥から美鈴と縁がこちらにやって来る。
2人はこのあいだ俺が選んで買った服を着ていた。
「どうかな朱音? 」
朱音は、ゆったりとした白の綿ニットに深緑のサロペットにキャリーバックを持っている。
「うん、可愛いよ…」
語彙力が無くてごめんなさい、だけどその言葉しか思い浮かばなかった…。
「もぅ~、おにぃ橘先輩に見惚れすぎ! 私はどうかな? 」
縁と俺のあいだに美鈴が割って入ってきた。
美鈴は白のTシャツにデニム生地のジャケットとベージュのフレアスカートを着た美鈴が立っていた。
「スゲー大人っぽいな! めっちゃ似合ってるよ」
そういって頭を撫でると美鈴は頬を膨らまして
「もぅ!おにぃはまた私を子供扱いする! 私だって好きな人が居るんだからね! 」
そういって俺のことをチラチラ見てくるので
「何か顔についてる? 」
首をかしげて美鈴に聞くと
「もぅ、何でもない!それより早く行こ!」
俺達3人はリーシャを迎えに行くため家をあとにした。
◆◇◆◇
「なぁ、朱音…。私達の式(結婚)は、いつ頃する予定なんだ? 」
縁が顔を赤くしながら尋ねてきた。
「顔、赤いけど大丈夫か? 式(出発式)ならすぐじゃないか? そんなに楽しみなのか? 」
縁に尋ねると縁は耳まで真っ赤にさせて
「当たり前だろ一生に1度しかないんだぞ緊張だってするしドキドキだってする! 」
そういって俺を見つめて微笑んでいる。
そういえば縁は昔、両親に虐待をされていたんだった…。だからこんなみんなと何処かに行くっていう事が出来なかったのかもしれない…。それなら
「大丈夫、俺が側に居るから何があっても縁を1人にしないから」
そういって縁の頭を撫でると
「フフッ、ありがとう♥ 大好きだよ朱音♥」
そういって抱きつこうとした縁を美鈴が阻止をしてリーシャの家に着きチャイムを押すと
「おはよう…どうかな? 」
白いワンピースに水色のカーディガンを羽織ったリーシャが玄関から出てきた。いつもツインテールにしていた髪も今日は結っていない。
「いつもと違う雰囲気で良いと思うよ♪ 」
そういってリーシャを見るとリーシャは頷いて『ありがとう』といって俺の手を握ってきた。
その後4人で一緒に登校してクラスごとに分かれて林間学校の諸注意を聞き、出発式をするために校庭に移動する。
◆◇◆◇
「であるからして~」
長い…。長すぎるぞ校長の話…。
「校長先生ありがとうございました。続いて生徒会長 海野楓さんお願いします」
このあいだの庶務の雪さんの声と一緒に楓さんが生徒の前に立つ。
「皆さんおはようございます。これから林間学校へ向かいます! 皆さん準備はいいですか? では、レッツゴー! 」
良いのかこんな締めかたで…。
楓さんの掛け声と共に男どもは『ウォォォッ~!』と叫び声をあげてバスへの移動を開始した。
「席順はこのあいだ決めた通りだからね」
真琴がそういって林間学校のシラバスに載っている席順に座るように指示を出している。
「まただよ…、また女子の隣に座るのは東雲と鷹条だけだよ…」
男子達から殺気のこもった視線が俺と慶次に注がれる。
「朱音、ハーブティーを持ってきたんだけど飲む? 」
隣に座るリーシャから水筒の上蓋に入ったハーブティーを受け取る。
「どうかな? 美味しくできてるかな? 」
そういって上目づかいで俺を見つめてくる。
「うん、美味しい! 何か花の香りがするんだけど…」
隣に座るリーシャに聞くとリーシャは頷いて
「うん、実はカモミールティーなんだ♪ 」
そういってニコニコしている。
「うわぁ、美味しそう! リーシャ、私にも頂戴! 」
真琴がリーシャにそういってハーブティーを取るとリーシャは慌ててバックからもう1本水筒を取り出した。
「こっち飲んで! 」
そういって真琴の持っている水筒を取って、取り出した水筒を真琴に渡す。
「えっ、あっ、うん」
真琴は戸惑いながらも渡された水筒からハーブティーを注ぎ、飲み始める。
「うわぁ、美味しい! これスッゴく美味しい! 」
そういって真琴がもう一杯飲もうとしたところでクラスの他の女子達が真琴に注意をする。
「真琴! そんなに飲んだらリーシャの分が無くなっちゃうじゃん! 真琴は食べ物とかのことになると本当に鈍感なんだから! いいリーシャはね………。分かった? 」
真琴は目を見開いて驚いたと思えば、顔を赤くしてその顔を手で覆って隠してしまった…。
「大丈夫か真琴…」
俺が声をかけると真琴は頷いて
「ごめんリーシャ、全然気づかなかった…。コレ返すね♪ 」
そういってリーシャに水筒を返した。
「ううん、気にしないで♪ だって肝心の人がまったく気づいてないんだもん大丈夫だから♪ 」
リーシャがそういうと女子の視線が一斉に俺に向いた…。
「えっ…、俺が何かした? 」
そう呟いて隣のリーシャを見るとリーシャは微笑みながら
「何かしたかもしれないし何もしてないかもしれない。もし私が何か知ってても朱音には1人で気づいて欲しい(それで私を選んでほしい)」
そういってリーシャは俺の腕を握って寄り掛かってくる。
「眠くなったのか? 」
リーシャに聞くとリーシャは顔を真っ赤にさせて
「うん、眠くなっちゃった…」
と言って俺の膝を枕にして横になってしまった。このバスは珍しく席の真ん中にある腕を置く部分が無いので横になれるらしい。
「リーシャも大胆だなぁ~! 」
前の席に座ってる真琴が俺達を見て呟いている。
「眠くなったらしいよ」
真琴に伝えると彼女はため息を吐いて
「うん、そういうことじゃないんだけど本当に鈍感だね…」
真琴は何処か遠くを見つめる様な目で俺を見つめていた。
「はい、起きてください♪ バスの中でHR始めますよ♪ 」
加藤先生がマイクを握り挨拶を始める。
「ほら! 起きて! 起きて! 」
ふて寝していた男子達も加藤先生のCuteな声で目を覚まし始めた。
「あら? リーシャちゃんはまだ寝たまんま? もぅ~っ、彼氏の膝枕で寝てるなんてぇ~! もう怒ったわよ! 王子様がみんなの前でキスをして起こしてあげてください! ちなみに私の王子様は『お前は俺の物だ! 誰にも渡さないから、そのためにも20万が必用なんだ! 』って言われたから20万払ったら次の日から連絡が取れなくなっちゃった♪ 楓ちゃんのお兄さんに相談したら『そんなやつ呼んでないですよ…。誰ですかそいつ』って言われちゃった♪ 」
おぃぃぃぃぃっ!!なに爆弾投下してんの! バスの中、思いっきり暗くなったよ!みんな黙っちゃったよ! どうすんだよこの空気…。
そのままトイレ休憩のSA《サービスエリア》まで誰も喋らず黙っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます