スローガンを考えよう!
「失礼します! 」
新生徒会室の扉をノックして教室に入っていく。
「失礼するよ♪ 」
俺に続いて縁も入ってくる。
教室に入ると楓さんと加藤先生を含めて女性が6人居た。
「ここどーぞ♪ 」
楓さんが隣の椅子をポンポン叩いているので縁を押しやり俺は隅っこに移動した。
「それじゃあ、よろず部の2人も来たから早速会議を始めちゃいましょう! 」
加藤先生の号令とともに会議が始まった。
「朱音、君もこっちに来るんだ♪ 」
そういって縁は隅に居た俺に向かって手招きをしてくる。
「ちょっとそれは無理かな…。昨日の転入生代表挨拶で言ったと思うんだけど…」
そういって縁を見ると彼女は少し考えて俺の手を握ってくる。
「何がしたいの? 」
いきなりみんなの前で手を握ってきたので不思議に思い彼女に尋ねると縁は首をかしげて
「女性が苦手なんだよな? どうして私が握っても平気なんだ? 」
「「あぁ~、確かに」」
俺も含め、そこにいた全員が不思議そうに繋いでいる手を見つめている。
「縁とは自然とこういうことが出来るようになったんだよな…。まぁ、感謝はしてる」
楓さんはその様子を見て玩具を見つけたようにニヤッと笑ったあと
「もしかして縁ちゃんを女性として見てないとか? 」
楓さん、いらんことを言わないでください! 爪、爪が食い込んできてるから。
「それとも特別な存在だから繋いでいられるとか? 」
隣では顔を真っ赤にして楓さんを睨み付けていた。
「とりあえず朱音君のことは橘さんに任せて話を進めちゃいましょう♪ 」
そんな、どうでもいいみたいな感じで軽く流さないで! 手の甲に爪が…。
「縁のことは、ちゃんと可愛いくて綺麗な女性だって思ってる! 思ってるから爪!爪が食い込んで痛いから一旦、手を離して! 」
そういうと縁はハッとして握っていた手を離してくれた。
「縁、怒るのはいいけどさすがに爪が食い込むまで強く握らないで、ほら! 血が出てくっきり爪痕残っちゃってるじゃん! 」
そういって手の甲を見せると縁は申し訳なさそうな顔でカバンから絆創膏を取り出して貼ってくれる。
「ごめん、わざとじゃないんだ…。つい力が入ってしまって…」
縁はそういって俺の手の甲を撫でてきた。
「あぁ、分かってるから! それより加藤先生も言ってたけど話を進めましょう! 」
「その前に、朱音…。さっきの言葉は本当か? 嘘は言ってないか? 」
他のメンバーに気づかれないように耳元で尋ねてきた。
さっきのこと? あぁ、感謝をしてるってことか?
「あぁ、まぁ、本当にそう思ってるよ…」
恥ずかしそうにそう伝えると縁は顔を赤らめて
「そっ、そうなのか? フフッ♪ 」
何だか気味が悪いほど機嫌が良くなっている気がする…。
「2人ともこれを見てくれる? 」
中央のテーブルに呼ばれたので俺と縁はそっちに向かう。
◆◇◆◇
「それで縁ちゃん達は何か考えてきた? 」
楓さんが俺と縁を見て尋ねてきた。
「あぁ、それなら朱音が考えてきてくれたぞ…、たしか『自然と共に』だったかな?」
コイツ、面白そうにニヤニヤしながら言ってやがる!
「いや、すみませ…」
「良いじゃない! さすが縁ちゃんが認めた朱音君! 」
俺と縁は互いに顔を見合せ
「「ダメダメ! それは草案だから! みんなでしっかり考えよう(なくちゃ)! 」」
そういって必死に楓さんをなだめてみんなで話し合うことにした。
「それじゃあ、どんなのがいい」
楓さん、なぜ俺に丸投げ? 楓さんは俺を見つめて意見を求めてきた。
「朱音はやらないぞ! 」
そういって縁は楓さんを見つめながら俺にかばうように覆い被さってくるけど…。
「なぁ、その…、当たってるからさ…」
俺も意識しない様にしてるけど柔らかいものが当たってる…。
「きっ、気にするなぁ~!! 」
何で? ……。俺から触ったわけじゃないのに俺はビンタされなくてはならないのだろう?
俺は頬に紅葉のマークをつけて話を戻す。
「俺は林間学校だし何か自然とかそういうのを含ませたスローガンが良いと思うんだけど… 」
そういうと俺の隣に居る縁はニヤッと笑って
「『自然と共に』的なことなのかな? 」
そういうので俺は縁に
「それじゃあ、縁は何かいいスローガン思いついたのかな? さっきまで何も考えてなかったって言っていたけど」
縁に話を振ると縁は少し考えて
「『育てよう自然を愛する絆と心』的なのでどうだろう? 」
そういって隣に居る俺の顔をうかがってくる。
「くっ…、たしかに俺のやつよりスローガンぽい…」
そういって悔しそうにすると縁は嬉しそうにニコニコしている。
「2人とも、もう息ピッタリだよね♪ やっぱりあの時、縁ちゃんのワガママを聞いて良かったかも♪ 」
加藤先生が笑ってそんなことを言ったので気になり先生に聞くことにした。
「なんですか縁のワガママって? 」
先生に聞くと隣で縁が慌てて先生の口を塞ごうとするので縁の腕を押さえる。
「ダメ! 先生それは言わないでください!」
縁は先生に言わないようにお願いをしている。
「うぅ~ん、縁ちゃんが嫌がってるからダメ! だけどいずれ縁ちゃんから朱音君に伝えることが出来ると良いね♪ 朱音君それまで縁ちゃんを信じてあげて♪ 」
そういってウインクをしてきたので
「信じてあげてって言いますけど無理ですよ? だってもう
そういって縁を見つめると顔を真っ赤にして
「こっちこそよろしく… 」
恥ずかしそうに頷いていた。
「もう、2人とも自分達の世界に入ってないで戻ってきて! 」
楓さんが俺と縁の肩を叩いてくる。
「そっ、そんなことないよ大丈夫だから! あとはレクリエーションだな♪ 」
縁がそう言うと楓さんは首を振って
「それだけじゃないの♪ 全学年合同の行事だから班分けをしなくちゃいけないの…。何かいい方法無いかしら? 」
そういって俺と縁を見つめてくる。
「それなら俺に1つ提案がある。班分けの仕方なんだけど上級生と下級生を一緒にしたいんだ、目的はお互いのスキルアップ! 下級生は上級生に教えてもらって、上級生は下級生に教えることで互いの知識と理解を深められる。だからなるべく同じ部活動や関連している部活動どうしで合わせるのはどうだろう? 」
そう言うと縁は頷いて
「その考えは私も良いと思う、どうだろう楓? 」
そういって楓さんに聞くと楓さんも頷いて
「分かった、じゃあそんな感じで進めるね♪ あっ、でもそうすると私たち生徒会はどうしよっか? それとよろず部は…」
「それならよろず部と生徒会に分かれるのが妥当じゃないか? もちろん私とあっ、朱音は一緒だからな! 」
顔を真っ赤にして言うほど恥ずかしい事なのだろうか?
「うん? 別に大丈夫だよ。それでいいかな? 」
そう聞くと楓さん達は驚きながらも頷いて了承してくれたのだが加藤先生は顔を赤くしてダメだと言っていたが楓さんが取り出した名刺を見て『OKだよ♪ 縁ちゃん頑張ってね♪ 先生も頑張るから♪ 』と言って鼻歌まじりで部屋を出ていってしまった。
「楓さん、何を渡したんですか? 」
興味本意で聞いてみると
「大学生のお兄ちゃんが合コン相手探してるって言うから教えてあげたの♪ 」
教師が生徒に買収された現場を見てしまった…。
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