幕が上がるストーリー
「よしっ! これで完璧! 」
そういって俺のネクタイを絞め直してくれた。
「サンキュー美鈴♪ 」
そういって美鈴の頭を撫でると美鈴は耳まで真っ赤にして頷いている。
「ちょっと、 そこのあなた!風紀を乱さないでくれるかしら💢 」
いつのまにか校門にいた金髪ツインテールの風紀委員の女の子が隣に立っていて、俺と美鈴を見つめていた。
「あっ、えっ、っと…おにぃ! ダッシュ! 」
俺は訳が分からず美鈴に手を引っ張られるまま校舎に入っていく。
◆◇◆◇
「おにぃ、クラスはどうだった? 」
そういって貼り出されている男子生徒の振り分け表を美鈴と一緒に見ると
「あっ、おにぃ! また鷹条先輩と一緒のクラスじゃん! 何年連続? 」
そういって美鈴が見つめてきたので俺は片手を広げて
「5年だよ…。中学からずっと一緒とか…」
肩を落として落ち込むふりをしていると美鈴が嬉しそうに俺のシャツの袖を摘まんで
「でもおにぃ、おにぃのクラスって私のクラスの隣だよ! やったね♪ これで一緒にお昼も食べれるよ♪ 」
なんて満面の笑みで俺を見つめてくる。
本当、可愛いから反応に困る…。
「ねっ! 教室まで一緒に行こう♪ 」
こんな可愛い笑顔で手を繋がれてそんなこと言われたら断れない。
「あぁ、分かった。それじゃあ行こっか? 」
そういって美鈴と手を繋いだまま教室まで一緒に歩いていくと廊下ですれ違う女子達から不思議そうな目で見られてしまっていた。
◆◇◆◇
「それじゃあ、またお昼ね♪ おにぃ」
美鈴はお昼ご飯を一緒に食べよう♪ と一方的に伝えてきてそのまま自分の教室に入っていってしまった。
俺は、ため息を1つ吐いて自分の教室の扉を開けて入ると
「おはよう♪ えっと…」
栗毛でポニーテールの女の子が俺を見て何か迷っている。
「おはよう♪ 俺の名前は
ポニーテールの女の子に尋ねると女の子は微笑んで
「あっ、そうだよね♪ 私の名前は
そういって真琴は握手を求めてきた。
「こちらこそよろしくね♪ 」
差し出された手を握り、しっかりと握手をして真琴に案内された席に座って話しているとチャイムが鳴り、そのチャイムと同時に2人の生徒が滑り込んできた。
「セーフ! 」
1人は慶次でもう1人は
「何でこの学校はこんなに大きいんですか! 1年経ったのにまだ迷ってしまうなんて…」
校門にいた金髪ツインテールだった…。
その後ろからガラガラっと扉を開けて少女が入ってくる。
「はい、皆さん! 席に着いてくださぁぁぁ~い! これから朝のホームルームを始めます! 」
そういって少女が出席簿を見て名前を呼び始めた。
「えっと…、彼女は? 」
真琴に教卓で出席を取っている女性について尋ねると
「彼女は私達の担任で
教卓を見ると加藤先生が俺を見て手招きをしている。
俺は席を立って加藤先生のもとに行くと耳元で
「ねぇ、朱音君って櫻ヶ丘高校の生徒会長だったの? 今日の始業式で代表者挨拶があるからピシッと決めてね♪ それと朝チラッと見たんだけど三ノ宮とはどういう関係? 」
どうやら美鈴と手を繋いでいたのを見られていたらしい…。
「いや、美鈴は義理の妹で特に何も無いですよ」
そう伝えると横にいた慶次が
「本当に羨ましいですよね? あんな可愛い子と1つ屋根の下で2人きりですよ!いいよなぁ~」
俺の肩に腕を乗せながらニヤニヤしているけど…。
「慶次君、君はぁ~何で登校初日から遅刻なのかな? 」
あんなに綺麗なロリっ…、いやいや女性が般若の様な顔に変わって慶次の顔を見つめている。
「いや、それはコイツのせいですよ! 」
そういって慶次が隣にいた金髪ツインテールの女の子を指差している。
「なっ、私のせいだと言うのか!? 」
女の子は指を差されて驚いている。
「だってそうだろ、教室を教えてくれって頼んだのにいつのまにか屋上にいたんだぞ! どうすれば屋上に行くんだよ! 」
慶次が頭を抱えて唸っていると女の子も
「私だって本当はすぐ教室に着くはずだったんだ、やはり悪いのはこんなバカデカイ学園が悪いんだ! 」
そんなことを言って落ち込んでいる。
そんな様子を見て加藤先生は、ため息を吐いて
「リーシャちゃん、また迷ったのね? 分かったわ今回は大目に見てあげるけど次は誰かと一緒に教室に来てね…」
そういって俺達の方を向き『席に着いて』
と指示が出たので俺を含め3人は自分の席に着いた。
「おっ! 隣じゃん! 朱音」
どうやら慶次は俺の右隣の席だったらしい。
「あっ、お前は今朝のバカップルじゃないか! 」
前の席には、さっきリーシャちゃんと呼ばれていた金髪ツインテールの女の子が座っていた。
「バカップルって…、さっきも言ったけどあの娘は義理の妹だから…。そうだ俺は東雲朱音よろしく! 」
そういうと女の子はニコッと笑って
「私は鷺ノ宮・R・リーシャだ! こちらこそよろしく東雲! 」
自己紹介をしてくれた。
「それじゃあ、始業式がもうすぐ始まるから移動するわよ~♪ 」
加藤先生の声とともに皆で移動を始める。
◆◇◆◇
「それでは転入生徒代表挨拶 東雲朱音さん、お願いします」
司会の生徒の声が聞こえた。
俺は体育館のステージにあがりマイクの前に立つ。
「只今、ご紹介に預かりました東雲朱音です。この度は国の財政難により廃校になった櫻ヶ丘高校の生徒を迎え入れてくださりありがとうございます。互いに男子校、女子校と異性に耐性が無いかもしれませんがよろしくお願いします。自分は正直、『共学!? そんなの形式だけでいいじゃん! 』と思ってます。女性が余り得意じゃないので…。ですが皆さんと仲良くしたいという気持ちは本当です♪ これからよろしくお願いします」
なんとか噛まずにしっかりと挨拶が出来た。
マイクの前で一礼して顔をあげると、たまたま美鈴が目線に入った。美鈴もそれに気づいたのかニコッと笑って手を小さく振っていた。
おい、周りの子が不思議そうにしてるぞ…。何か誤解を生まなきゃいいけど…。
ステージから降りて慶次達の所に戻るとリーシャは意外そうな顔で俺を見て、真琴は『やるじゃん』と肩を叩いてきて慶次はその様子を見て笑っていた。
なんだか騒がしくて楽しそうな学園生活の幕が上がった予感がした。
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