第15話 憑依体質

 以前、霊感が強い人に「佳純ちゃんは憑依ひょうい体質だよ」と言われました。


「オバケとか見えませんよ」

「霊感はゼロだからね。恐山おそれざんのイタコとかってわかる?」


「はい」

 一般に知られている程度の知識ですが、怖い話は好きなので、そういう情報は持っています。


 青森の恐山は、イタコと呼ばれる人たちがいるそうです。

 毎年7月のお祭りの時だけだそうですが、口寄くちよせをしてくれるそうです。


 口寄せとは、神仙や死霊の言葉を伝えてくれるそうです。

 亡くなった人の言葉を、生きている人が聞く方法のひとつです。


 似たような風習は日本各地にあるそうです。


「あれって、霊を下ろす人と、霊の器になる人がいるんだよ。佳純ちゃんは器の方。霊感なくてもできるよ」


 イタコのような人たちは、自分に霊を下ろす時もあるそうですが、第三者を霊媒れいばいにして、それに霊を乗り移らせることもあるそうです。


 その霊媒になれるらしいです。


 でも、イタコもほとんどが嘘だとか。

 よく当たると言われる人がたまにできる程度だと、本で読んだことがあります。


 私にその真偽は わかりません。



**



 自分が憑依体質だと聞いたのは数年前です。

 それまでは、自分にあるのは霊感だと思っていました。


 金縛りになったり原因不明な音などは聞いていたからです。

 でも、霊感がある人はこんなものではないそうです。


 生きている人とそうでない人の区別がつかないらしいです。

 その世界は、わかっているつもりで、全然わかっていないのかもしれません。


 私に霊は視えないし、特別な力があるわけでもありません。


 そんな私には「たくさんのっている」らしいです。

「悪いものじゃないから大丈夫だよ」と笑顔で言われましたが。


 何がのっているのでしょうか。


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