第13話 小さい頃に寝ていた部屋

 両親と一緒に寝ていた頃です。

 居間に布団を敷いて川の字に寝ていました。


 その日はたまたま、私がひとりで先に寝なければなりませんでした。

 早く寝るように言われ、自分の布団に入ります。


 そして、寝ようとすると、何かが居ます。

 部屋の中には私しかいません。


 でも、確実に何かがいて、ものすごい怒りの気配がしました。

 部屋の西側、ほぼ天井の高さに、何かの気配がありました。


 鬼のような怒りの気配。

 その怒りが、私に注がれているのを感じました。


 そこを見ても、何も居ません。

 ただ、とても恐ろしかったです。


 居ても立ってもいられず、仕事をしていた母の所に行くと、

「まだ起きてるの?! 早く寝なさい!!」

と、ものすごい剣幕けんまくで怒られました。


 オバケの方がましだったので、戻ることにしました。

 父がお風呂にいることを思い出し、風呂場まで行くと、早く出てきてほしいと声をかけました。


「わかった、わかった」

と、笑って言う父の声を聞き、ほっとして布団に戻りました。


 怖い気配はありましたが、もうすぐ父が来ると思い、我慢していました。

 待っている時間はとても長く感じました。


 すると、カーンカーンカーンという音がどこかから聞こえてきました。

 何の音かわかりません。


 その音と共に、その気配が遠ざかっていきました。

 気配が遠ざかっていくと、音も小さくなりました。




 私の数少なくもない霊体験の中で、最も恐ろしいと感じたものです。

 ただ、怒られた方がトラウマになったかもしれません。 


 生きている人間のパワーは、思っている以上に強力です。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る