第3話 基近の義兄さまっ
「
「ぅ……そ、それは分かっておりますが…」
話は元に戻って……わたしの義理の兄こと、従四位下・右近衛中将 九条基近の義兄様が、
「が、なんです?」
「…………」
参ったなぁー。基近義兄さまがこういう態度で来た時には、余り下手に逆らわない方が良いんだよねぇ~っ……。
さて、どうしたものやら?
わたしがそうこう思案していると、
「まあまあ、
「御父上様は、またそうやって咲花を甘やかそうとなさる。そういうのは咲花の為になりませんよ」
そう言われ、
何とも頼りない。
隣に座る
わたしも出来れば、この場で思いっ切りため息をつきたい心境だよ。
「……つい先程、好きな者が居るとのことでしたが。それは、どなたのことです?」
「……」
そ、そんなこと……言える訳がない。
それが、基近義兄様のことだなんて知られたら、
「そう……その相手次第では、どうにか出来るかとも思いましたが。言えないのであれば、致し方ないですね」
「……えっ?」
義兄様はそう言い終えると、スッと立ち上がった。
それから
「
御父上様も、それでよろしいですね?」
「そ、そうですなぁ~っ……。それが咲花にとって、一番やと思いますよってなぁ。うんうん」
「……(くっ…! 結局は、毎回こうなってしまうのよっ……!)」
義兄様は御父上様のその一言を聞いて、頷くと「それでは」と申し出て行かれた。
◇ ◇ ◇
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