第9話

地元の話が続きます。

大規模な駅前開発で、昔とは商店街の様子も、お店等も

全く違っててこれから紹介する植木屋さんももう無いのですが、そこの息子

さんは、一方では中学の体育の先生でもありました。

女子バレー部の顧問で、強化選手も抱え活躍しておられたのですが、急に

困った事になりました。チームの主力選手の子の脚が立たなくなったのです。

方々医者には診せたのですが、そもそも原因不明でクラブどころか通学

にも困り果てていました。

私は、この出来事が解決した後に、事の顛末をこの先生から伺いました。

先生も心配の余り、遂に祈祷所の方にも相談されたらしく、その人の見立てでは

当の生徒の家の先祖代々の墓に問題があるようだ、とのことでした。

当時でも、このような考え方はもう余り真に受ける人も少なくなっていて、増して

学校の先生をも介しての事でしたが、この先生は理解があって協力的でした。

また、とにかく何とか助けたいという気持ちは、当然本人のご家庭でも同じで、

藁にも縋る思いで、一族のお墓に行って言われるままに、「カロート」といわれる

遺骨を納めるスペースの中を確認したそうです。

すると、なぜかそこには大量の水がたまっていて、大変な事になっていたそうです。

骨壺もビチャビャでした。どこからか隙間でも出来て雨水などが入り込んだのでしょう。

驚いて皆できちんと掃除し、たまり水の廃棄も終えたところ、間もなくこの女子バレー

選手の子も何事も無かったかの様に元気になり、主力選手としてその後も活躍したのでした。

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