第7話

先程の自由律俳句サークルの会員の方のお話の続きです。

何故か急に、彼女は石鎚山の修行に行きたくなったそうで、一通りの修行者セット

を購入したといいます。白衣とか、袈裟とか色々必要らしく全部用意の上、ご主人に話をしたそうです。



でも、ご主人はこういう方面の理解が無く、冗談じゃないぞ!俺も子供らもどうするつもりなんだ!と怒って大反対したそうで、客観的に考えて当然だと思います。

そもそも、主婦が急にこういう事を思い立つというのは普通じゃありませんよね。


彼女が、この話を「こうこうなんですよ、困っちゃいましてねえ…」と乗ったタクシーの中で運転手に語ったそうです。

するとこのタクシーの男性運転手が、ふと、彼女の方へ振り向いて「奥さん、その権利と用具類自分に譲ってもらえませんか?」と真顔で聞いてきたんだそうです。

ご主人の大反対で宙に浮いた形の、石鎚山への修行セットをこの運転手さんに丸々譲った

んだそうです。

後にこの運転手の方は、高名な行者さんとなられたと伺っています。

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