2


1


与えよあたえよ碧く燃える樫の木よ吾の耳は朽ちている



2


焦げた畳みは睨んだ灰いろの燃えカス越しにぼくの肺胞を



3


笑ってもその隈だけは隠せない昨日貸したの見たんだね、ね



4


北陸の岩に似ていくこの我も冬はそんなに嫌いでないな



5


見もせずに母は束ねた己の髪銀糸断ち切る火の音立てて



6


慰めはコップの中にあると聞き誰かいないかと爪で叩いた



7


ふと気が付けばこんな時間だ小屋そうじインコも肩乗り指図する



8


この星にかつて愛した人がいて吾の意識のみ今や残れる

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