3


1


時わすれ頁をめくる手にも似た楓ひとひら頬に教える




月灌ぐ穂波をくぐる黒子ねこ背筋ただして影の尾曳いて



3


乗りたいと遂に子どもは廻り出しここに小さなゴーランドが



4


一文字に口を結んだあの人が欲しいもの吾もまた欲しいのに



5


我が祖国という言葉を思い出し過去からの手紙を探す




今ここに耳朶を打ちたる時雨ありアルバムからの旅を終えたり




温泉で記憶に残る秋の群れあけびにぶどう湯のはなキノコ



8

風を浴び薄は光る銀のすず蜻蛉の羽音をどこかにやった。

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