純の気持ち

「ボクは天界事情なんてわかんねーよ。理屈なんか知るか、おまえたちだけで楽しんでるんじゃねえよ」


「じゅ、純……」


「ボクにだって、わかることがあるんだ。これがリエルの責任じゃないって。今目の前で倒れてるリエルのためなら、これがその証だ――!」


 五体投地、いや純は意識を失いかけばったりとうち伏す。腹がぐぐうっとなる。


 ……。


「うげえ、カッコ悪い……」


 純は、気を失った。リエルは――リエルは?


「ア……純」


 虚ろな目をして純のもとへ這い、最後の力をふりしぼって癒しの呪文を唱える。ぽわんと現れるパン。


「さあ、あなたのためのとびっきりおいしいパンですよ。起きてください。目を……さまして?」


 切っても切れない二人の絆に打ちのめされた神々。


「ありえない。なんということだ」


「一介の守護天使があの状態において奇跡をおこなうとは」


「それにあの少年……守護天使を思うままにするとは」


「いよいよか……」


 とざわめいている。


 倒れる二人に託宣があった。


「決戦の勇者よ。今はまだ眠るがよい。真に戦わねばならぬ、そのときまで」


 純とリエルは、共に意識を失った。


 天界より高い神界から神々の声がした。


「おまえはこの天使のために命すらなげうつというのだな。小さな勇者よ」


「無知であるがゆえなのか? しかしその意志はなんと純粋でいじらしいことか」


「リエル、おまえはまだ死んではならぬ。この少年を導くまで、決してな」

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