純の戦い 

『今更天使などに、鞭うたれて改心などするものか――』


「いいから、ジョーブツしろおお!」


『ワタシは暗黒天使! 仏にはならない』


「真面目に語るな!」


 純が鞭をしならせると、巨大な黒翼にヒット。そのままヒットアンドアウェイで体力ゲージを削り続けた。


『ワタシを怒らせたな!』


 最強の翼で叩き落された純。


 悲鳴のリエル。


(やはり純には早すぎる! いいえ、だってあれは……)


 リエルはいばらの鞭を両腕でからめとり、純を引き上げ、気絶から蘇生させた。


 暗黒天使の最後のあがきで危機に陥る純を、身を呈して助けるリエル。


「なにしてんだよ! 今良いところなのに」


「(あなたはわかっていない。あなたは今息をしていなかった!)」


 ――純、純。あなたに本当のことを語りましょう。


 私は実は心に闇を持っていました。生まれたときから、体が小さく、他の兄弟に巣から落とされた事実が私を闇に堕としました。その上私は神格試験からはじき出され、泣きながら人界をさまよっていたところ、小鳩を弔う純のやさしさに助けられました。私はあなたを守る守護天使になるべく、修行し、闇と決別したのです。しかし忌まわしき闇の天使は未熟な人格を持ち一人で悪さをするようになってしまって――それがあの暗黒天使なのです!!!


 蒼ざめて純は再び目を閉ざした。

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