前日

 次の日。


 純は、重苦しい顔をしてパジャマを脱ぎつつ、じっと立ちすくんでいた。


 朝食を摂らない。


「今大変なんだから、自分でパンでも食べてて」


 言われて初めて、自分でトーストにして食べる。


「(やっぱりおやはボクをあいしてないんだ!)」


「(ゲームもかってくれなかった)」


 半そででまぶたをこする。しょっぱいトーストをかじっただけでおいてしまう。


 しかし母親は、純をかまっている間もなく、パートへ出てしまった。


 めそめそしながらランドセルをしょって、靴を履く純を見守っている存在があった。窓から、こそっと。そして純が家から出てしまうと大きな翼を使って、その行方を追っていった。

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