いつか夢が叶う時に
夜璃
プロローグ
「どうして、どうしてなの!なぜあの子が××に……!」
「そりゃ、キミがあの子を選んだからでしょ」
取り乱す私に答える声は冷静で、余計に私をイラつかせる。
「選んでなんかないわ!少し見ていただけ。私はここから出られないのに外を眺めることすら許されないの?」
「ダメではないけど、眺めていて見つけたあの子を選んだのは、キミだよ」
「っ!」
分かっている。本当は分かっているのだ。
確かに最初は眺めているだけだったけれど、泣いているあの子、怒っているあの子、笑っているあの子、喜んでいるあの子___
いろんなあの子を見て私は……
「だけどあの子には夢があったのに。お父さんみたいな立派な××になるという夢が、あったのに」
自己嫌悪でいっぱいだ。どうすればいいのか分からない。どうすればあの子を救えるのか、分からない。
「……貴方なら、貴方ならなんとか出来るのではないの?貴方はセカイで一番偉いのでしょう?」
藁にもすがる思いで尋ねても、困ったように笑うだけ。
「出来ないよ。たしかに私はセカイで一番偉いけど、万能ではないんだ。これに関しては、セカイとセカイの取り決めだからね」
「っ、役立たずね!!」
八つ当たりだ。でも、本当にどうすればいいのか分からないのだ。
「……じゃあ、助言をあげようか。起きてしまったことは変えられない。だけどキミには未来があるでしょ?さっさと使命を終わらせて、それからあの子の夢を叶えればいいんだよ」
その声にハッとして顔を上げる。
「さっさと、終わらせて、あの子の夢を、叶える……?」
「そうだよ。それならキミにだって、出来るでしょ?途方もない努力が必要になるけどね」
努力?なんだって構わない。。なんだってしてみせる。あの子を救うためなら、叶えたかった私の夢も、きっとちっぽけなものになるなのだから。
「……やるわ。全ては、あの子のために__」
いつか夢が叶う時に 夜璃 @yuki-wataru
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