第13話 再会2

 息子を連れて隠岐の港を出る。息子の言う切り立った崖の半島に南蛮船をつける。ここなら南蛮船が隠せると言うのだ。息子は25歳でリーが気に入ったのかいつもそばにいる。小舟を下ろして10人の下忍を乗せて浜辺に渡る。とにかく浜の周辺に下忍を走らせる。

 茉緒はりーと息子を連れて茉緒の記憶をたどって藪道に入る。すっかり宗久が作った港への道は草に埋もれている。人気は全くない。1刻ほど歩くと燃えた屋敷に草がぼうぼう生えている。茉緒は慎重に建物の中に入っていく。確かに最近に人が入った形跡がある。その後鉱山跡も覗くが爆発があって埋まったようだ。このような廃坑がいくつもあると宗久が言っていた。

「果心居士ならどこに構える?」

「一番険しいとこ」

 リーが懐かしそうに答える。

「となるとあの山だな」

「リーさんは剣を使うのですか?」

「細い剣だが強い」

「一度手合わせをさせていただけませんか?」

「真剣でやってみろ」

 息子もそこそこ剣を使うようだ。息子の肩に力が入っている。怪我させまいとしている。

「殺す気でやれ」

 次の瞬間息子の剣が空を切ってリーの剣が頬に当たっている。リーの剣は茉緒でも気を抜いたら危ない。あの剣は果心居士が教えたものだ。

「戻ろう。明日は山登りになる」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る