第7話 新天地7
茉緒とリーと二人で総司令官の屋敷に潜ることになった。ヒデが小舟で半島の釣り場まで案内してくれた。ここは漁師が隠れて釣るところで大きな木があって塔からは見えない。ヒデは戻ってくるまでここで釣りをしていると言う。久しぶりの黒装束で塀を超える。
「今日は総司令官は王宮に泊まりだよ」
「日が暮れるまで倉庫に潜り込もう」
倉庫の位置はリーが調べている。入口には民兵が4人立っている。中に入るのはわけがない。倉庫の大部分は食べ物のようだ。だが奥にもう一つ扉がある。ここは頑丈な鍵がかけられている。だが見張りはいない。リーが鍵穴に持ってきた工具を入れている。
「開いたわ」
その声で扉の中に入る。財物が積み重ねてある。これは王宮の財物にも劣らない数だ。りーがそれぞれの箱を調べまわっている。
「これは先ほど襲われた王宮の荷物だわ」
「和寇が奪ったものがここにあるということはやはりグルなのだ。この王朝は番頭に盗賊を飼っているわけだな」
「王子に知らせる?」
「彼の力ではどうにもならない。それに和寇が今は我らの相手だ」
部屋を出ると倉庫から抜け出す。忍者にとってはわけのない話だ。屋敷の裏に回る。ここに背の高い櫓のある建物が立っている。中に潜むとここが民兵の住まいと食堂のようだ。
「だが民兵にしては数が多くてガラが悪い」
リーが声を出さずに話してくる。
「和寇たちだ」
「港を見てみる?」
「いや港は次にしよう」
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