第4話 新天地4

「どうして和寇が堂々と都を歩き回っている?」

 2階の茉緒の部屋から王宮が見える。反対側の窓からは南蛮船が見える。今は1隻だけが荷の積み込みをしている。次は隠岐から朝鮮を回る。

「軍部総司令官のチャクラパットが原因です」

「チャクラパット?」

「新しく軍を統括することになったの。これが腹黒い。和寇は彼に相当の金を貢いでいるわ」

 リーは今は密偵のように宮殿に出入りしている。茉緒が男だと知っているのは凜とリーの二人だけだ。凜は子供が大きくなるにつけ茉緒と関係を立っている。逆に頻繁に茉緒はリーを抱いている。そのチャクラパットと対抗している者はいるのか?」

「サンペット王子がいるけどまだ若いわ。豪とも親しい。街中をうろついている」

「不良か?」

「そうじゃなくて長子ではないので王子と言っても野放しなのよ」

「いくつだ?」

「18歳で茉緒さまの6歳下の子供です」

「合わせたくない口ぶりだな」

 リーの欠点は嫉妬持ちだ。昔は凜と張り合っていたが。

「ヒデとも親しいですよ。ヒデから紹介させます」

 部屋を出ていくとしばらくしてヒデが腰に棒を差て入ってくる。

「サンペット王子ですか?」

「ああ、一度会ってみたい」

「飲み屋に入りびたりですよ。女癖は悪いから気を付けてください。でも剣の腕は悪くないです」

「りーは嫌っていたみたいだが?」

「りーさんを押さえ込んで顔をはたかれたのですよ」



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