第2話 新天地2

「ヒデ母にも父にも似てないな」

 廻船を迎えに来た丸々と太った秀頼を見る。石田でも大野でもない。茶々の相手は誰だったのか。ヒデは地元の子供を束ねている。凜たち抜け忍が船から降りる。

「和寇たちの港を見つけるだけだ。戦ってはならぬ。ヒデ案内するのだ」

 ヒデが子供たちに印をつけさせ和寇たちの船を追いかけていたのだ。これは茉緒がヒデに作戦を授けていた。

 沼地になっていて大人より背の高い草が茂っている。漁師が通る狭い道がくねくね続いている。草に赤い布が所々に縛られている。1刻ほど歩いているとヒデが止まる。高い見張り台が見える。子供を下がらせて金を与えて村に返す。凜に合図をして下忍を5人連れて入り江を回り込むように進む。茉緒は連れてきた下忍の絵師に地図を描かせる。

「船は7隻ほどざっと100人ほどがいるようだな」

「子供たちの報告では船は分かれて別の方向に行ったと言っている」

 ヒデが口をとがらせて言う。

「和寇の港はまだまだあるようだな」

「よし次はこの辺りに小舟を張り付かせて移動する船を追うことだな」

「それは任せてください」

「ヒデ無理するなよ。剣は練習しているか?」

「向いてないようだね」

と凜が口をはさむ。

「将来は船の運転がしたい」

「そうか」

 ヒデは秀頼の頃より今の方が楽しいと言っている。徳川家康が生きていると知ったら柳生でも送ってきそうだ。






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