アユタヤ(鎖国からの脱出)
@ybt04
第1話 新天地1
アユタヤのオレンジ色に馴染んできてもう1年になる。茉緒がいるところは日本人街の一番河口に近いはずれにある。初めて入った船長の弁慶が南蛮船の港としてこの入り江を選んだ。ここなら3艇が同時に入れる。
「話とは?」
弁慶は3か月ぶりに長崎から戻ってきた。茉緒と凜はここ1年夜叉姉妹としてこの町で暴れまわってきて、ようやく日本人町の3大勢力の一つに入れられるまでになった。一番古い山田長政の一族に和寇の海賊上がりの一族が競り合っている。
「いよいよ徳川は鎖国政策を採るというもっぱらの噂ですよ」
「長崎だけになるのか?」
「それでは利益は抜かれてしまいます。それで隠岐に抜け荷の港を確保しました。ここで取引という形をとりましょう。いくつかの有力な藩が同じことを考えています」
「それは任せる。山陰にはまだ近づけないか?」
「隠岐に拠点ができたら廻船でということもできます」
宗久は死んだのだろうか。それに豊臣の財宝も見つかってしまったのか。
「姉さん!」
凜が飛び込んでくる。凜は好んで茉緒とよく似た化粧をするようになった。それは二つの組から茉緒が狙われているからだ。だがこの1年凜を抱くことはなくなった。茉緒の横にはいつもリーがいる。
「倉庫を和寇の連中が襲ってきた。河から15隻が」
和寇の基地がまだ見つからないのだ。
「よしヒデを連れて調べていた島まで行ってくれ」
ヒデは現地の海賊の中に運び屋として子供らを束ねている。秀頼の新しい姿だ。
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