1day part4 ~能力と使い魔と資金調達?~
陽に当たり気持ちよく寝ていると体が揺さぶられる感覚と誰かの声が頭に響いてくる。
(大丈夫?起きて…。)
ゆっくりと目を開けるとリーアと呼ばれていた女性が私を揺さぶって起こしてくれた。
「うぅ…ん…すみません。気付かない内に寝てしまいました。」
(大丈夫?怪我はない?)
怪我?私は普通に眠っていたのになぜそんなことを聞くのだろうか。
(あなたを見つけたらこの辺りの血の匂いが異様なほど強くて心配だったの)
「吸血鬼って血の匂いに敏感なのね。」
(血の味を覚えたらすぐに気付く様になる。)
「凄いけどなりたくは無いわね」
苦笑いで返し、ふとリーアとの会話に不自然な感覚があることに気付いた。
何が不自然かと言うとリーアは喋っているが口が開いてない。
そしてリーアの声はまるで自分の頭の中に響いてる様な感覚があった。
(そろそろ気付いた様ね)
「これってリーアさんの能力ですか?」
「うん…私の能力は聴心術(ヒアリング)と交信術(テレパシー)があって聴心術は意識しなくても勝手に近くにいる人の心が聞こえるの。交信術は触れている相手にだけテレパシーを送れるの。」
「純血種の能力ってこんな感じなのね!セブンはどんな能力があるの?」
「俺の能力なんか見ても面白い物じゃないしそもそも見せる様な能力じゃない。」
壁にもたれかかって立っているセブンに聞いてみたがセブンはあまり乗り気ではないようだった。
「別に見せてとは言ってないじゃない。ねえどんな能力なの?」
「鎖術…鎖を自由に使える能力だ。」
「吸血鬼って割には地味ね。」
「地味とか言うな。そりゃ万能な能力に比べれば使える場面とか限られるけど、全く使えない訳ではない。」
使える場面が限られるどころか使える場面がなさそうなのだが…
と思ったが流石にそんな事言ったらセブンが傷つきそうなので言わないでおこう。
「そういえば2人の使い魔はどんなの?」
今朝のセブンとの会話で能力の話と使い魔の話を聞いていたのを思い出し興味本位で聞いてみた。
「私の使い魔はグノーム、ニンフ、ヴルカン、シルヴェストルの4匹よ。私は訳あって精霊を使役してる。」
「使い魔って普通1匹しかいないイメージがあるけど流石に4匹は多いでしょ。ってか悪魔以外でも使い魔に出来るのね。」
「私以外にも複数の使い魔を使役してるのもいれば悪魔以外を使役しているのもいる。」
どうやらリーアだけが特別というわけではないらしい。
(それとセブンは使い魔の事も覚えてないみたいだから聞かないであげて。)
「セブン…私は他の純血種(みんな)を集めて一度話し合いをした方が良いと思うの…」
「そうだな…だが全員の居所はわかるのか?」
「そう遠くにはいないはずだから私がみんなを集めるわ。」
「はっきりとした居所がわかってないなら一人で集めるのは大変だろ。それなら俺も手伝う。」
「気持ちはありがたいけどセブンはセシルさんとみんなの住める所を探して欲しい。」
なんか私まで巻き込まれてるし。ってか名前知ってたのね。
「セシルさんも吸血鬼になった以上教会にいるのは危ないから私達と一緒に行動したほうがいい。下手すれば火あぶりの刑になるかも。」
「さらっと恐ろしい事言うわね…。ってかセブン!よくも私を吸血鬼にしてくれたわね!」
「えっ、今更怒るのかよ。今まで普通にしてたのに。」
「あんたのせいで聖職者失格じゃない!」
「禁書持ち出した時点で聖職者失格だろ。」
「うっ…」
そう言われると何も言い返せないわ…。
リーアが溜め息をつきは私から離れた。
「セブン…三日後の夜にここで落ち合いましょう。集まる場所と日時はその時に言うわ。」
「三日後の夜だな、分かった。」
セブンが返事をするとリーアは一瞬でその場から消えた。
それにしても住処を探すってなにから手を付ければいいのやら…
「セシルよ。とりあえず住処を作るには資金がいるよな。」
「あんたまさか私の貯金をすっからかんにするつもり?それなら私は廃墟にでも住むわ!」
「いや現代の価値が分らんから聞きたいのだが今の時代でも財宝って換金できるか?」
今朝無一文って言ってたじゃん。それよりも財宝ってどんなのがあるのかしら…
「金とか宝石なら種類にもよるけど高値できっと売れるわよ。でも財宝なんてどこにあるの?」
「棺桶の中に保存してある。今から呼ぶ。」
またこいつは何を言ってるんだ。
「棺桶を呼ぶって生き物じゃないんだから来るわk…」
来るわけないと言おうとしたら廃ビルの壁を貫通して棺桶が飛んできた。
「なんか飛んで来たんだけど!?」
セブンは私を無視して棺桶を開け中身を私に見せた。
棺桶の中は何本も積み並べられた金の延べ棒や様々な宝石のついた装飾品が入ってる。
本物であれば全部換金すればかなりの金額になるだろう。
「どうだ換金できそうか?」
「本物なら余裕で家借りれるかもしれないわよ!セブンって貴族かなんかだったの!?」
「貴族ではないが城には住んでた覚えがある。」
「もしかしてお坊ちゃんだったとか?あ、でも雰囲気からしてそれはあり得ないわね。」
「記憶がはっきり戻ったら話してやる。とりあえず換金しに行くか。」
「ちなみにどうやって運ぶの?」
「どうやってって棺桶を鎖で肩にかけて背負えばいいだろ。」
こいつは棺桶を背負って街中を歩く気か!警察に見つかったら職質間違いなしだわ!
身分証も何もないのに棺桶の財宝見つかったら押収されて100%逮捕パターンじゃない!
「警察に見つかったら終わりだからせめて隠したりとかできないかしら。」
「お前が先に換金できる店に行って俺が空からついていけばいいんじゃないか?」
そういえば出会ったとき飛んでたというよりも浮いてたわね。
「もうそれで行きましょう。人に見られない様に気を付けてよ。」
「任せろ見つかったら消せばいい。」
「そういう発想はやめなさい。」
私たちは廃ビルを出て街へと向かった。
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