第三十話『おそらく簡単、グリルロブスターの作り方』

 作り方説明

『一、カットしたロブスター(業務用ではカットされたまま販売されていることもあるとか)を身のほうを上にして天板に並べ、冷凍ポテトとしめじを隙間に並べる。(この時、かさなってもOK)』

『二、オリーブオイルを全体にまわしかけ、ハーブソルトを天板全体に味付けするように振り掛ける。』


「お兄ちゃん、ハーブソルトがないのだけれど。何かいいのあるの?」

「んー、じゃあ普通の塩でいいか。」

「おっけー」


『三、オーブンのグリル機能を利用して、300℃で15分。天板は上段に入れます。』


「レシピには余熱はいらないって書いてあるけど、一応やっておこうか。」

「分かった。」


 優実はオーブンの設定を余熱状態にして、少し待った。

 それから約十分、僕はカットしたロブスターを乗せて、オーブンへ入れた。


『四、焼いている間にお好みで付け合せのサラダをつくります。』


「優実、サラダできるか?」

「任せて。ちょうど、新鮮な野菜を手に入れたから。」

「じゃ、そっち任せるね。」

「おk。」


 っても、僕がやることは待つだけなんだけどね。


『五、オーブンからロブスターを取り出して、盛りつけて完成!』


 なんと、これだけで完成とな。

 僕もびっくりの早さである。


「さてと、こっちはできたけど、そっちはどう?」


 僕は優実に聞く。

 優実は手を動かしたまま、答える。


「ん、もうちょっとでできる。もう少しだけ待っていて。」

「りょーかい。んじゃ、僕は箸とか出すけど、まだオーブンにロブスター入れたままだから、盛り付けとかは任せてもいいか?」

「いいよー、それじゃ、理奈さんとエミリーちゃんは座って、座って。」


 僕らの行動に何もついていけない二人は呆然としながら、すすめられた席に着いた。

 エミリーが理奈に向けていう。


「理奈さん、どう思う?」

「ん?何が?」

「ハルたちの連携について。」

「あはは、まー私はずっと見ているから別に今更って感じだけど、最初見た時は驚いたなぁ~私でもこんなに器用に連携取れないもん。」


 僕は箸を置きながらボソリという。


「理奈は料理できないからね…。(ボソッ)」

「なんか言った?」

「いえ、何も?」


 危ない、理奈が料理できないことは知っていることだけど、それを口にすることだけはしてはいけないことだ。


「そ、そうだ。優実。盛り付けはできたか?」

「うん、もうできるから座っていて。」

「はぁ、分かったわよ。」


 理奈は少しため息を漏らしながらも席に座る。

 ふぅ…どうにかなりそうで良かった。

 そうこうしているうちに優実がどでかいロブスターを皿いっぱいに盛り付けやってきた。


「さて、それじゃあいただこうか。」

「ええ。」

「わーい。」

「みんな、たくさん食べてね。あ、お兄ちゃんは食べなくていいからね。」

「食べるよ!」


 おいおい、僕だけ除け者とはひどいじゃないか。


「いただきます。」

「「「いただきま――す。」」」


 こうして、エミリーの祝賀会が始まったのであった。

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