第十八話『委員長の策』
教室に入った僕たちを待っていたのはいつも通りのクラスメイトだった。
美奈子も席について僕たちが来たのを少しうれしそうに見ている。
そんな中、誰よりも先に委員長が僕に向けて言う。
「おはよ、石倉くん。」
「ああ、おはよ。」
「理奈さんは…。フフッ、もう、大丈夫そうだね。石倉くん、叩かれたところは大丈夫だった?」
委員長は僕たちが手を握っていることに対して、苦笑しながらも笑顔を浮かべて僕に話す。
僕はそれに対して、頬を触りながら言う。
「ああ、叩かれたところは変に痣が残っていて嫌だけどな。」
「しょうがないよ。昨日のことは誰が悪いとか言われることはないし。それに…いや、何でもないよ。」
ん?どういうことだ?昨日のことは確実に緋想さんという明確な人がいたはず。
「……」
「どうしたの?晴馬。」
後ろから理奈が不思議そうに言う。
やれやれ、まさか…な。
もしかして…。
いや、偏見か?それでも、確かめる必要は充分にある。
僕は自分の机にカバンを無造作に置くと、委員長に向けて言う。
「委員長、少しだけ話、できるかな。」
「ん~、ここじゃダメなの?」
「委員長がここで言いならここでもいいけど。」
その言葉に確信を持ったのか委員長はニンマリとした笑顔からシュッとした表情へと変わる。
そして、今まで席について静かに事を見守っていた美奈子が僕に対して言う。
「その顔は…。さては、何かつかんだようだね。晴馬くん。」
「ああ…。まあな。」
やはりなのか…。
やれやれ、僕が思っていることがすべて正しいということにしなくてはいけないのか。
そして、すべて分かっているんだな。お前は。
「最初に言っておくけど、これからのことはすべて偏見。つまりは完全な僕の創造に過ぎない。ということを踏まえて話そう。委員長、君は昨日のことを覚えているかい?」
「え、ええ。覚えているわ。理奈さんが泣いて、石倉くんにビンタした。これはみんなが見ていたはずよ。」
「もちろん。そこについては実際に僕が叩かれた跡がある。だから、そこに関して否定するつもりはない。」
「じゃあ、何なのよ。」
「じゃあ、質問を変えよう。なぜ、緋想さんは理奈と僕との関係を聞いてきた?」
「そんなの、知らないわよ。緋想さんの気まぐれじゃないの?」
「ああ、僕も最初はそう思っていた。ただの気まぐれだ。ただ、僕たちの関係で妬いているだけだ。別に気にする必要はないってね。でも、よく考えたらこうとらえることもできる。『僕たちのことを心配してくれている。』とね。」
「「「はぁ??」」」
その言葉に委員長、理奈、美奈子、そして、興味なさそうなクラスメイト達が全員僕のほうを向いた。
やれやれ、なんで一気に来るんですか?もっと前からきてもよかったでしょ。
「断言しようか。『昨日の出来事はすべて偶然なんかじゃない。委員長、あんたがすべて考えていたんだ。』」
僕は委員長を指さし、断言した。
やれやれ、ここからどう切り崩していこうか。
まぁ、どっちにしろ委員長、あんたの考えをすべて暴いてやるよ。
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