第十一話『食事』
そのまま、特に変わりなく、授業を受けることになったが僕は授業の内容より頭の中には美奈子の発言しか残っておらず、早く終わらないかなと願うばかりだった。
そして、お昼になった。
「それじゃ、お昼食べようか。」
向かいからは、朝から変わらず上機嫌な理奈と
「晴馬くん、ほら席をくっつけて。」
横からは、言葉からは感じられないが視線がいまだに怖い美奈子と
「はいはい、それじゃ、食べようか…」
度重なる出来事でクタクタな僕がいた。
それを見て、美奈子が僕に言う。
「あれ?晴馬くん、今日はなんだか元気がないようですね。一体、何があったのでしょう。」
お前のせいだよ!お前が余計なことを言ったせいで僕は疲れているんだ。
というか知っているよね。知っていていじっているだけだよね。
と、目線を送ったが特別変化はない。
まぁ、分かっていたことだ。
理奈がそんな僕を見て、静かに言う。
「まあいいじゃない、晴馬が元気がないなら私がなんとかしてあげるし…」
やれやれ、上機嫌で何よりですよ、お嬢様。
というよりも、そんなことをされるほどのことでもないけどな。
「大きなお世話だ、それに僕は食欲がないだけだよ。」
「嘘だ。(即答)」
「嘘ですね。(即答)」
二人とも、即答で全否定しなくてもいいじゃないか、ちょっとしょげるぞ。
「この中で一番、食に飢えているあんたが、ご飯食べないってよほどのこと。あんたの生活習慣見ているとすぐに分かるわよ。それに、最近は外に出ていて食事に飢えているって優実ちゃんも言っていたわけだし。」
「そうです。晴馬くんが食欲旺盛なのはボクが一番よくわかってるから、意地はっている必要はないんです。」
ああもう。
やれやれ、一体全体どいつのせいで僕がこんなにも苦しめられる必要があるんだよ。
これが神の過ちというものなら間違いなくいらないし、もっと別の過ちが良かったな。
「はぁ…。もういい。お前らに少しでも気を紛らわせてくれると思ったけど、そうじゃないんだな。」
僕はそういって、高速でメシを食って、ごちそうさまと一言いうと、机を直し、二人に向けて言う。
「ごめん、僕ちょっと考えたいことあるから外に出ている。後、掃除まで帰ってくる気はないから出来るだけ付いてこないで…一人になりたい。」
僕の力のない言葉に流石の二人も異常を感じたのか、おずおずと頷いた。
「ありがとう。」
そう言って、僕は二人の方を振り向くことなく教室を後にした。
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