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「…そうだ、それに近い…」



だから今の状態では俺が何を話そうと、何をしようと彼女には届かない…と青年は弱音のような言葉を零すように言う。



「…えーと…あの…」



女の人は青年に声をかけようとしたが、かける言葉が思いつかないのか少しして口を閉じる。



「…まあ、気にしていても仕方ない…方法が見つかるまではいつも通りでいこう」


「…そうですね、それが良いと思います!」



青年が軽く笑いかけるように言った言葉に女の人も賛同した。



「…あと少し休憩したらランニングをしようか」


「はい!」



青年は女の人にそう指示すると家から離れるように歩いて行く。



「…何故だ、この状況だと言うのに…どんどんと新技が閃いてしまう…!」



林のような所まで歩くと青年が信じられないようにボソッと呟いた。



「…魔剣士になったから、なのか…?」



食後すぐだと言うのに男は剣を抜いて構える。



「…ふう…魔剣スキル『黒狼剣』!…!?」



青年は目を瞑り深呼吸すると薄く目を開け…ごく自然にスキルを使い、そのあとに驚愕した。



「な、んだ…コレは…!スキルとは、修行修練鍛錬で身につくモノでは無いのか…!?」



青年が自分の手を見ながら信じられないように呟くと、持ってる剣の先が銀色から薄い黒に変わる。



「…そうか、コレが『魔剣士』…堕落した騎士や剣士、戦士の証…」



青年は剣の先をマジマジと見るとハッと何かを思い出したように呟いた。

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