165



「…どこからこれを?」



そこらで簡単に手に入る物ではないハズだが…と青年は疑問を口にする。



「どこかの遺跡で見つけた物らしい」


「…らしい?」



男が言った言葉に青年は怪訝そうにおうむ返しのように聞き返す。



「魔導協会に所属したら、特典として貰った」


「…特典で…?」


「新聞とかの勧誘をする時に洗剤とかティッシュとか付いてきます、と言うがあるだろう?それと似たようなものだ」


「ああ、なるほど」



男の返答を聞いて納得出来なかった青年もたとえを聞いて納得した。



「…はあ…はあ…あれ…?何か、あったん、ですか…?」



青年と男の話がちょうどひと段落したところで女の人が息を切らしながら戻ってくると不思議そうに聞く。



「いや、少し話をしていただけだ」


「そうでしたか、すみません…先にお風呂に入ってきます」



青年の返答を聞くと女の人は断りを入れてから先に家の中へ入る。



「…コレはあの子に渡した方が良いかもしれないな…」



青年は女の人の背を見送るとボソッと呟いた。



「…止めておいた方がいい、あの子はまだまだ修行中なのだろう?下手に力を強化すると技術を身に付けるのが遅くなるぞ」



その呟きを聞いた男が青年の考えに反対するように止める。



「…それもそうだ…今は切羽詰まった状況でも無い、目先の事よりも後先の事を優先しよう」



ありがとう、と青年は意見してくれた男にお礼を言う。



「ふっ…お前の悲願とやらはまだ何か分からんが、とりあえずお前への協力は惜しまないつもりだ」



お前が俺に協力してくれたようにな…と男はニヤリと笑いながら返して家の中に入って行く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る