162



「…おっと、皿忘れた…」



外に出てスロープを下ってる最中に彼女が呟く。



「…よし、っと…」



地面にある石を足で寄せて台車のタイヤを動かないようにすると家の中に戻る。



「てれててれれっ♪」



口ずさみながら家から出てきた彼女は大きな皿を抱えるようにして持っていた。



「よーいしょ…」



そして台車を止めた場所の隣に大きな皿を置くと寸胴鍋を傾けてスープを移す。



「っと…」


「「「「ヘッヘッヘッ…」」」」



彼女が寸胴鍋の中身を大きめの皿に移し終わる頃には匂いにつられて魔物達が集まってきている。



「…これでよし…」



大きめの皿をそれぞれ少し離れた場所へ運ぶと彼女は空になった寸胴鍋を台車に乗せて家の中に戻って行った。



「…洗浄スキル『浄化』」


「…ご馳走様」


「ご馳走様でした」



スキルを使って寸胴鍋や台車を綺麗にして片付け終わると同時に、青年と女の人は食事が終わったらしく手を合わせる。



「…さて、食べるか」



食器を片付ける青年達と入れ違いになるように彼女は椅子に座って手を合わせた。



「…まあこんなモンか」



彼女は青年達が作った不恰好な餃子と自分で作った餃子を食べ比べてボソッと呟く。



「…コレは『体力回復持続(微)』なのにコレは『体力強化』か…」



微妙…と付与効果に不満を零しつつも彼女は食べ進める。



「ご馳走様…さて、魚の燻製でも作るか…洗浄スキル『浄化』」



たった今ご飯を食べたばかりなのに彼女はスキルで皿を綺麗にすると、早々と夕飯の準備に取り掛かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る