93

そして青年が来ないまま時間は流れ…



ついに作戦第二段階移行2分前に。



「間に合わなそうだナー」


「そろそろ行くか」


「…っ…!ま、まだあと1分残ってます!」



彼女と男が大釜に手を着くと女の人が叫ぶ。



「1分て…」


「っ…!すまない、遅れた!」



彼女が呆れたように何かを言いかけると青年が息を荒げながら戻ってくる。



「おお、ちょうどだな…」



ぜぇぜぇ…と膝に手を着いて息を荒げる青年を見て男が驚いたように零した。



「なんっ…とか、説得に、成功…したっ…!」



青年は息も整えずに苦しそうに報告する。



「…この方達が…」


「…なるほど、アレに入ってるのが…」



遅れて走ってきた人達は全員『騎士』と表示されていて、青年や女の人と同じ鎧を着けていた。



「…少し遅れるが、コイツの息が整い次第作戦は第二段階に移行だな」



男は十数人いる騎士団の面々を見て彼女と女の人にそう告げる。






「…ふぅ、もう大丈夫だ」


「んじゃ、行きますか」



少しすると息が整った青年が上半身を上げて彼女が大釜を押す。



「今から拠点に移動する!目的地まで、我々に群がって来るゾンビを倒さずに退ける事!」


「「「「イエッサー!!」」」」



青年が彼女と一緒に大釜を押しながら大声で指示すると、騎士団の面々は胸の高さまで腕を上げるポーズを取って叫んだ。



「拠点はココから歩いて15分ほどだ、俺が先導しよう」



男が集団の先頭に立って歩き、彼女と女の人と青年が大釜を押し、騎士団の面々が群がって来るゾンビを倒さずに撃退する…という役割で街を進む。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る