3

「ほら返せ…洗浄スキル『浄化』」



彼女がスキルを使うとフライパン、包丁、フォーク、皿が綺麗になった。



「なっ…!一瞬で…綺麗になっただと!?初めて聞くスキルだが…一体…?」


「体が治ったんならさっさと山を降りる事だな、危ないんだろ?」



青年の疑問を全てスルーして彼女は背を向ける。



「待て!ココは危ない!」


「だろうね、あんたがそんなになるぐらいだから…危ないナニカが来たんだろうね」



彼女は『騎士 Lv23』と表示された青年を一瞥するとそのまま歩いて行った。



「っ…!…危ないと分かっている場所に、君を行かせるワケにはいかない」


「離せよ、別に危なくねえって…この山に住んでるんだから遭遇しても逃げられる」



青年に腕を掴まれるも彼女は振り払いため息混じりに言う。



「…この山に…?…事前に聞かされた情報では人は居ないと…」


「山奥だから気づかなかったんじゃねぇの?」


「そうか…なら、助けてくれたお礼に君の家までの護衛と手伝いをしよう」


「……好きにすれば?」



どうせ何を言っても通じないと思ったのか彼女は後ろをついてくる青年を見て、また前を向く。



「ソレで…何をしていたんだ?」


「山菜取り」


「山菜か…ふむ、何を採れば良い?」


「食べられそうだと思ったモノは手当たり次第」



青年の問いに興味無さそうに淡々と答える。



「そうか…こういう物とかか?」



青年は少し考えると木の根元に生えているキノコを採った。



「ん…じゃあコレ」



キノコを見もしないで適当に頷くと袋からざるを取り出して青年に渡す。



「コレとかもか?」


「聞かないと分からないの?」



そこらに自生している葉っぱを取ってわざわざ見せに来る青年に、彼女はイラついたよう睨む。



「…すまない、山菜とかは良く分からなくてな…」


「…はぁ…仕分けは後でやるから、とりあえず手当たり次第採って」



恥ずかしそうに頭を掻いた青年にため息を吐いて指示する。



「使えないモノは土の肥料にするから」


「了解だ」



彼女の指示に青年は笑って敬礼した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る