第26話 文化祭初日

どこもかしこも、人で埋め尽くされとても

賑わっている

女の子の何が可愛いだの、男はどの子が

可愛いだのいろいろ、そこらじゅうから

色々聞こえてくる

「空下これ5番テーブルに頼む!」

「はいよ!」

その波に飲まれるように俺はせかせか

と喫茶店の定員として威勢良く働く

「すいませーん!注文お願いします!」

「はーい、ただいま!」

全く、これで給料でないんだから

とんだブラック企業だ

急いでオーダーを取るため席へと向かう

「ご注文はなんでしょうか?」

決められた言葉とメモ用紙に目を移す

「空下 木葉くんで」

「すいませんそれはちょっと…」

「そうなの?じゃあ、テイクアウトは?」

「できるわけないだろ」

顔を上げると声と口調でなんとなく

予想してた人物が現れる

「こんなところで何してんだ、真希」

「偵察よ、明日のコンサートの」

「なるほどな、で注文は?」

「木葉で」「無理だアホ」

「ねえ、空下もらってっていいー?」

こいつ、教室中にいるクラスメイトに

聴き始めやがった!?

最初こそみんなポカーンとしていたが、

だれが発言したか知るや否や

「「「どうぞどうぞ!」」」

と男ども

「「「え、まさか又きたの?」」」

と女性たち

戦力がなくなることを嫌がったのか

嫌な顔をする結衣

「ありがとー! 行こう!」

「ちょ、ちょいまちいい!」

抵抗も虚しく、余裕で引っ張られてしまう

「待たないわよ?時間無いもん」

「お願い体勢だけ直させて!」

「仕方ないわね」

途端、襟が解放されて自由になる

どうにか体勢を直し、服を正す

「こんなに強引に連れてきたんだ、

どっか行きたいところでもあるのか?」

「もちろん!急いで回らないと!

お化け屋敷でしょ、弓道部の弓道でしょ

焼きそばでしょ、クレープでしょ

それからそれか」

「あーもうたくさんあるのは分かった!

じゃあ、早く行こう!」

「お、おう…」

無邪気にはしゃぐ彼女の姿は、

大人っぽい雰囲気とのギャップがあり

目を引かれる、なんだか見るのが恥ずかしく

て少し顔を逸らして答えた

なんだか静かになると又、意識しそうなので

それとなく話をふっていく

「で、まずどこに行くんだ?」

「そうねーまずは…メイドカフェ!」

「メイドカフェ?」

「そう!メイドカフェ!」

「なんでだよ!?ああゆうの興味あるの?」

「んー、まあ変わってるし面白そうだと思う

けど、一番の目的はそうゆう趣味を

理解したいってことかな」

「なるほど、お前のファンの為か」

それなら納得が行く

「もーわざとなのかな?」

なんでか分からないが、口を膨らませて

怒っている

あざといが可愛い(語彙力消失

「なんか、好感度落とすようなこと

僕しました?」

「しましたー!」

「お待たせしました、ご主人様ぁ〜」

「ほっ、ほら順番が来たし行こう!」

「もう、誤魔化して〜」

メイドのコスプレをした生徒について行く

中はどのテーブルも満席で賑やかだ

「ここになります、注文決まり次第

お呼び下さいませ〜」

軽くお辞儀をすると別の席へと向って

行った

「……ねえ?」

「ん?どうした?」顔を真希に向ける

あれ〜おかしいゾ ガチ怒りになってるゾ

「今あの子に見とれてなかった?」

「見とれてなんか無い!」

とか言いつつ顔を逸らす

「ほんと〜?」

「本当だ本当!」「うそでしょー?」

ジト目で睨んでくる

「…すいません、少しだけ」

「もうやっぱり!どうしてこう…

「でも!真希の方が可愛い!」

とっさに出た答えだ、それ故に嘘はない

一応周りに聞こえない様に注意して

言ったので、さっきのメイドさんを

傷つけることはないだろう

自分の顔の自信がないので

自分が言われて嫌なことは、言わない様

にしてるがこれは別だ

いきなり顔を真っ赤にして、急に

しおらしくなる

「「……」」

無言の時間が続く、何か喋らなければ

「ジュース何飲む?」

今にもかき消されそうな声でボソっと

喋る「コーヒー」

「了解、俺はなににしよっかな〜」

甘い二人の時間が流れる



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幼馴染の君がアイドルになった うすしおポテト @usushiotarako1006

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