無題(仮)

シキ

絶望の始まり

「なぁ、この書類の山はなんだ?」

「司令官が休んでた間に溜まってしまったものです。私が処理出来るものはしたのですが司令官の判断が必要なものが多くて……」

立派な机の椅子に座り机に山積みになった書類を見ている司令官と呼ばれた男性と、隣に立っている十八くらいの女性が部屋にいた。

「いくらなんでも多くないか?」

「最近正体不明の何かに襲われる事が多いと他支部から注意勧告が寄せられていまして、幸い我等が支部の地域はまだ被害が無いのですが……」

「うん、そんなことがあったなら呼ぼうな?風邪引いただけで返事くらいは書けるから」

「だめですよ!風邪を侮ってはいけません。悪化して死に繋がることもあるのですから。私達の替えは居ますが司令官の替わりは居ないんですからね?」

「君達の替えも居ないんだがね」

風邪を引いて強制的に休まされていた間に重大な事が起きていたことに驚きながらそれを隠し会話する司令官と、司令官を心配する女性。

「とにかく返事を書くか」

「そうですね。お伝えしなかったのは申し訳ありませんでした……」

「俺が体調管理を怠ったのが原因だ。気にすることはない」

返事を書き始め二時間ほど経った時、

「お忙しい中失礼します!」

「ノックくらいはしなさい!」

顔を青白くした男性が部屋に飛び込んで来た。

「いや、いい。それよりも血相を変えるほどのことだろ?早く話せ」

「我等が第13支部以外の1から12支部が正体不明の何かに襲撃され、壊滅したとのことです!」

「なんだと?本当なのか?」

「嘘だと思いたいですが事実です!監視カメラの映像が送られてきたのですが全て火の海状態で生き残りを探すのは難しいでしょう」

「犠牲を無駄にはしない。すぐさま防衛線を築き上げろ!装備は最大危機に対するSランクだ!」

「了解!」

男性は指示を聞くと走って全体の指示をしに行った。

「申し訳ありません、私の……せいですよね」

顔を青白くした女性が謝る。

「タイミングが悪かったのと俺が体調管理を怠ったのが原因だ。気づかった君が悪いわけではないよ」

司令官は微笑み、安心させようとする。

「すいません、今はこの事態の解決が優先ですよね」

「その通りだ。頼りにしてるよ」

「お任せください!」

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無題(仮) シキ @yukishiro8813

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