第200話 魅了スキル?
「……ごほん。それでは改めて、代表者の方をお伝えさせていただきます」
僕のテンションに引っ張られてか、少し騒然とした場を、ツェンさんは咳払いひとつでおさめる。
騒然とというか、騒いでたのは基本的に僕だけども……。
「まず、先程お伝えいたしました通り、各陣営のトップとしてアキ様、シンシ様の2名。次に、補佐として各陣営の指揮を取られていたトーマ様とヤカタ様」
「まぁ、せやろな。そこまでは予想はつく」
「むしろ、トーマ君がリーダーだと思うんだけどなぁ……」
「まだ言ってんのか……。諦めや、もうそこは決定事項や」
「うぐぐ……」
僕の呟きに、呆れ顔のトーマ君がそう切り返す。
わかってるよ……わかってるんだけどさ……。
「最後の1名に関しては、各陣営共に難しいところでして……」
「まぁ……わからんでもない」
言いにくそうに、言葉を切ったツェンさんに、トーマ君が相づちを打つように頷いて、言葉を繋げた。
「こっちの陣営的にも、俺の補佐と折衝をしてくれたオリオンさんやら、PKを食い止め続けたカナエ姉さん。他にも、ダンジョンを解放してアキの合流を手助けしたアル
「別の見方をすれば、拠点設備に力を貸していただいた木山様などもそうでしょう」
「オリオンさんの言う通りやな。もちろん指示して幌を作ってくれたり、装備の修理をしてくれたキャロ姉さんもそうや」
「正直、誰が抜けていても、この状況には成らなかったでしょうね」
ぼ、僕の知らないところで……オリオンさんとトーマ君が仲良くなってる……!
って、そこじゃなくて、みんな知らないところで一杯動いてくれてたんだなぁ……。
なのに、僕なんて、自分のことしか考えれてなかったよ……。
「アキ様。アキ様はそれ良かったのです。その結果、こうして無事戻ることができたのですから」
「……ツェンさん」
「おっと、つい口から出てしまいましたね。GMとして、1人に肩入れするのは良くないのですが、いやはや……不思議なものです」
「確かに、不思議とアキ様は助けてしまいたくなりますね。そういう魅力があるということでしょう。面倒だと思うことでも、不思議と手を出してしまう、そんな不思議な魅力が」
「なんや、オリオンさんは
トーマ君の言葉に笑いながら、しかし周りのみんなは「そうだ」と言わんばかりに頷く。
みんな……僕、そんなに頼りないかな!?
というか、魅了スキル?
そんなの……あるのかな……?
「あ、そういえば、最近……スキル自体見てなかった気がする……」
「おいおい、あかんでそれ。自分の現状を知らんと、打てる手も思い付かんやろ」
「うぐっ」
「ま、後でしっかり見とき」
呆れを通り越して、面白くなってるのか、にやにやと笑ったトーマ君に、僕はため息混じりに「わかった」と、返す。
こういうところが、頼りないってことなんだなぁ……。
「……と、とにかく、みんな可能性があるってことだよね? 結局、誰になったんですか?」
「露骨に話題を戻すなや。つーて、誰になっても特に心配はないやろ。人柄も戦い方もある程度わかっとるし」
「それは、そうなんだけど……」
少し笑うトーマ君に、僕は唇を尖らせながらも、同意を示す。
けど、トーマ君……僕らの方はそうだとしても、シンシさん達側がどうなるのか、それは結構重要なことだと思うんだ。
シンシさんみたいに、妨害や自分の得意分野に持ち込むタイプなのか、それともヤカタさんみたいに、力で制圧してくるタイプなのか……。
もちろん、全然違うタイプというのもありえる。
魔法を使う人かもしれないしね?
「はい、それでは3人目の方ですが……少し予想外かもしれませんね……」
「……?」
「いえ、それも仕方がないことかと思います。3人目ですが、アキ様の陣営からは、リュン様」
「え?」
「まじかよ……」
「シンシ様の陣営からは、フェン様……となっております」
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