第512話 ◆アリシアの大冒険(その23)

◆アリシアの大冒険(その23)


ここは平和なエルフの隠れ里。


ララノアは近くにある泉で、体を清めていた。



昨日、娘のアリシアが霊獣を召喚した。


娘の修行目的の一つだった魔力のレベルアップは、これでほぼ達成したことになる。


あとは年齢相応の女性に成長してくれれば母親としては、もう安心だ。


セレネさんたちと一緒に居れば様々な経験ができるし、仲間たちとの交流で友情や愛情も芽生えていくだろう。



そんなことを思って水浴びをしていると急に胸騒ぎがするではないか。


ララノアは辺りを警戒しながらクルリと見回したが、特に変わったことは何もない。


気の所為かとも思ったが娘のことが心配になり、念のため魔法で水鏡を作り出した。


そしてその水鏡を覗きこんでララノアは、あっと声をあげた。


そこに映し出されたのは、深手を負った霊獣たちの姿だったのだ。


これは・・


あの霊獣たちがこれほどの怪我をしているのだ。


きっと娘の身に危険がせまっているに違いない!



ララノアは慌てていたため、裸のままで家へ向け猛スピードで飛んだ。


そして、家に着くなり大きな魔法陣を床に描き始めた。


そう、遠く離れた地への移動には、より大きな魔法陣を描く必要があるのだ。




***



一方、ヴイーヴルがまだ生きているとは思いもしないアリシアは、既にこの世にいないディアの後を追って、ひたすら村を目指していた。


真っ暗な森の中を歩くのは、昼間の倍近く時間がかかる。


辺りを警戒しながら、自分の行く方向を常に確認しなければいけない。


もしも少しでもそれを怠れば、たちまち道に迷ってしまうだろうし、魔物や野獣の餌食になるかも知れない。



ふぅ・・  確かこの上り坂で最後だったわね。  


流石に疲れたわ。 頂上で少し休憩していこうかしら。



あっ、足跡み~っけ。 きっとディアのだわね。


まだ、跡がハッキリしてるし、もしかしたら追いつけるかしら?



そういえば、アレッタの具合はどうだろう。  意識は戻ったかな・・


正直な話し、ヴイーヴルを倒したら中からアレッタが出て来た時は、ビックリした。


でも、生きていて本当によかった。



最後の上り坂は、この山道の中で一番の急坂だ。


額から汗が流れ、顎からしたたり落ちる。


ハァ ハァ ハァ・・・


さぁ、もう少しで頂上だ。





***


えっ?  ちょっと、随分短いわね。


はぁ・・ 梅雨寒で風邪を引きまして・・・


ふ~ん


なんですか?  疑ってるみたいですね。


だって、さっき嬉しそうな顔をしてコンビニ行ってたじゃん。


ど、どこで見てたんですか?


ふふっ


おまわりさん。 この人ストーカーですよーー!

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