第490話 ◆アリシアの大冒険(その1)

◆アリシアの大冒険(その1)


なんだかエルフの里に急いで帰らなければイケない気がして、夕ご飯も食べずにお城を出発した。  


でも、ものの10分もしないうちに、お腹がすいて後悔し始める。 せめて夕ご飯を食べてくればよかった。



エルフの里に帰るには、船に乗って行くことになる。


お城の近くには港が二つあるのだけれど、船がたくさんいるのは貿易港の方だ。


ここには、いろいろな国からやって来る貿易船が常時20隻は停泊している。


なので、あたしは貿易港に向かうことにした。


貿易港は、ほかの国といろいろな物資をやり取りする専門の港だ。


だから人を乗せてよその国に行くには、もう一つの港に行くしかないけど、あっちの港は圧倒的に船の数が少ない。




途中、商店街の前の道を通って行くのだけれど、いつも買い物をするパン屋さんがまだ開いていた。


お店を覘くと棚にはパンがほとんど残ってなかった。


あたしが大好きなメロンパンがあったらよかったのに・・・


窓ガラスに顔をくっつけて見ていたら、お店のおじさんと目が合ってしまった。



おや、アリシアちゃん。 こんな遅くにお買い物かい?


うん、ちょっと行くところがあって・・・


パンが少し残っているけど食べるかい?


ううん。 あたし、お金をあまり持ってないの。


あはは もうお店を閉めるところだし、お金はいらないよ。  


ほら、遠慮せずに持っていきなさい。



あ・・ありがとう。


パン屋のおじさんは、袋にパンをたくさん入れて、あたしにくれた。


あたしはお礼を言って、また貿易港へと歩き出した。



さっきまではお星さまが見えていたのに、急に黒い雲が湧き出して冷たい風が吹き出した。


この土地では珍しく雨が降ってくるのかもしれない。


あたしは、先を急ぎ早足で歩く。


運が良ければ、知り合いの船長さんの船が港に停泊しているかも知れない。


そしたら、運賃後払いで行けるところまで乗せて行ってもらえるか交渉をするのだ。



湿った濃い風がサァーと吹いて来たと思ったら、ポツリ、ポツリと雨粒が落ちてきた。


ちょっとぉ  もう少しだけ待ってよーー!



あたしは、魔法を使って頭の上に風を起こし、雨を吹き飛ばすことにした。


この辺は、ちょっとした魔法の応用力で対処できる。


きっとセレネなら、こんなことは思いつかずにずぶ濡れになっても、ヘラヘラ笑っているに違いない。


セレネのことを思い出したら、一刻も早くエルフの里に帰らなければという思いが強くなった。



さあ、本降りにならないうちに、貿易港まで急ごう。




***


ねえ。 アリシアはなんで貿易港まで魔法を使って飛んでいかないの?


はあ・・ それはですね。  飛んでイスタンブールじゃなかった。


アリシアは貿易港へ飛んだ。 あっと言う間に防波堤に降りた。


っていうのじゃ、面白くないでしょ!



ま、まあ 確かにそうね。


そうですよ。 でもいろいろ考えたり、突っ込みを入れたりして、楽しんでもらえると嬉しいですね。


あと今のところ、細かい情景なんかは敢えて書き込んでいないんです。


これも、読者の皆さんがそれぞれ想像して楽しんでいただけるように・・


ゲシッ


あぅ


本当のことを言いなさいよ!


て・・手抜きでした。   ごめんなさい。



で、本当に書くとどうなのよ!



例えばですね・・・


途中、商店街の前の道を通って行くのだけれど、いつも買い物をするパン屋さんがまだ開いていた。

途中、商店街の前の道を通ると、いつもパンを買っているお店から、明かりが漏れているのが見えた。

あたしは、なんだかうれしくなって、ガラス窓におでこをくっつけて、お店の中を覗き込む。

でも、お店の棚には、もうパンはあまり残っていない。

あたしはひどくがっかりした。  だって大好きなメロンパンが食べたかったから。


どうッスか?


あんたさぁ 本文とあまり変わってないじゃない!


えっ そうですか?

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