第489話 ◆アリシア再び帰郷?

◆アリシア再び帰郷?


へんねぇ・・ 食いしん坊のアリシアが夕食の時間を過ぎてもダイニングルームに来ないなんて。


ベルちゃん 悪いけどアリシアを呼んできてくれる。


はい。


ベルは、サキュバスなのでコリン君とかルイなど男子には、危険(有難い?)な存在だったけど、いまはある対策(◆ルイの場合参)をしているので、ひとまず落ち着いている。


それでも女のあたしがそばを通るときに、なんとなくムラムラするのだから、サキュバスってすごい。


・・・


しばらくするとベルが泣きそうな顔をして戻って来た。


ママ、アリシアちゃん何処を探しても見つからなかったです。


おかしいな。 まだ拗ねてるのかしら・・・


しかたがないわね。 お腹が減ったら、そのうち食べにくるから先に食べてましょう。



しかし、いつまでたってもアリシアはダイニングルームには現れなかった。


そこで夕食後、全員でアリシアを探すことになった。


お城と言っても、そんなに大きくないのですぐに見つかるだろうと高を括っていたのだが、3時間ほど探しても足跡すら見つけられなかった。


インキュバスやヴァンパイアなんかもお城に出没したし、あたしはこの時点でドンドン不安になってきていた、




***


さて時間は、5時間ほど前に遡る。


アリシアは、セレネに本当の事を言えないならママ(ララノア)のところに帰れと言われ、自分の部屋に戻るとすぐに荷造りを始めた。


と言っても、大きな荷物は邪魔になるので、最低限の着替えと財布(お金は少ししか入っていない)を小さなリュックに入れた。


あと、残った1粒の赤い薬のビンも鞄に入れた。  よし、これで何とかなるでしょ。 



アリシアは薬が効いているため、セレネの云い付けに従って、一刻も早くララノアの下に帰らなければならないという気持ちでいっぱいなのだ。


もちろん、夕食の支度のいい匂いが漂って来るが、薬の効果に迷いは出ない。



バタンッ


アリシアは、ドアを開け廊下に出ると足早にお城をあとにした。



***



一方お城では深夜にも関わらず、アリシア捜索会議が開かれていた。


わたし、アリシアさんは、もうお城の中にはいないんじゃないかと思います。


ニーナが真剣な表情で、テーブルに座った仲間たちを見回す。


そうですね。 これだけ探しても見つからないし、僕もそう思います。


コリン君もうなずく。



でも、あの食いしん坊のアリシアが夕飯も食べずに出かけるかしら?


あたしの発言にルイが真面目な顔をして、「それだけの何かがあったということですかね」とつぶやく。


例えば誰かと喧嘩したとか・・・



あっ!


思わず上げたあたしの声に全員の視線が集中する。


セレネさん・・・ いったい何があったんです?


コリン君がやっぱり原因はお前かという目で見て来る。


いや・・ あれはだってアリシアが悪い・・


で?


ほんとうにあたしは悪くないし。


アリシアが変な薬を飴玉だってあたしに飲ませて来るから、取り上げてアリシアの口に放り込んだだけよ。


ほぉーー  で?


それで、何の薬かと何の目的であたしに飲ませようとしたか言えないなら、ララノアのところに帰りなさいって・・



それだ!


それじゃないですか!


それをもう少し早く言ってくれれば!


やれやれ・・


えっ?  あ・・あたし別に悪くないわよね。



そうと分かったなら、さっそく探しにいきましょう!


エルフの里に向かうなら、ルートは2つ。


ひとつは港に出て船で、もうひとつは飛行船で向かうルートですね。


なら飛行船は無いわね。


セレネさん。 それはどうしてですか?


だってあの娘、お金持ってないもの。


でもさっき僕が部屋の中を探した時、貯金箱が壊れてましたよ。


あーーー  たぶんそれはへんな薬を買うために使っちゃったはずよ。 薬は2粒で3万ミリカって言ってたもの。


3万・・


何か犯罪の臭いがしますね。  コリン君の目が細くなる。


でしょ。 そんな高価なもの何の薬か気にならない?


確かに・・


でもアリシアは、何もしゃべらずいなくなった。  あたしはテレビで見た探偵の真似をしながら手を顎に当てた。



まずはアリシアさんを見つけることが先決です。


飛行船ルートは無いかもしれませんが、念のため誰かに行ってもらいましょう。


残り全員で2か所の港を探すことにします。


それじゃ、シルフとメイアで飛行船の発着場を見て来てくれる?  もし、アリシアを見つけたらお城に連れ戻して。


わかった~


了解した。




それでは、一番近い港へはルイとティアとヴォルルにお願いします。


あとは、貿易船の専用港へ向かいます。


お金が無いなら密航する可能性が高いし、こっちの方が圧倒的に船数が多いので、たぶんこっちのはずです。



こうして、あたしたちは手分けしてアリシアの後を追うことになったのだった。




***


ねえ。


なんですか?


ことの1話ごとのあとがきみたいなのって、面白いと思って書いてるの?


いえ、別に。


じゃあ、やめれば。


えーっと・・  前にセレネさんが1話の文字数が少ないって言ってたから水増し用なんですけど。


えっ?  あたし?



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