第434話 ◆天使の行いを監視する者

◆天使の行いを監視する者



それは突然空から降って来た。


・・・


今日のお昼は、お城の中庭でみんなでBBQだ。


この日のために、ジャイアントラビットのお肉に加え、回転アルマジロのお肉、巨大ヤシガニ、大ハマグリ、トウモロコシ、野菜もたくさん準備した。


バーベキューコンロも5つ用意、そして会議室のテーブルと椅子をずらりと並べた。


BBQソースはコリンシェフ特製のもので、これをかけたらお肉でも野菜でも、モリモリと幾らでも食べられる。


一部のものから、酒も用意するんだよねとの圧力がかかり、急遽ビールとワインも用意した。



今は、11時40分。  そろそろ腹ペコ野郎どもが、わらわらと集まってくる時間だ。



セレネ、お肉焼けてる?  アリシアがいきなりぶっこんで来る!


おい!  あたしはアリシアの召使じゃないぞ!


なんだ、もう少ししてから来ればよかったわ。


いいからそこに突っ立ってないで、手伝いなさいよ。


はーい。



セレネ、お腹すいた~


あーー メイアの分は別にラビット2匹用意してあるから、自分で焼いて食べなさい。


わかった~



ティア、お肉や野菜は僕が焼いてあげるからね。


兄さま、嬉しい。



セレネちゃん、頼んでおいたお酒は?


あそこのテーブルに山ほど置いておきましたので、好きに飲んでください。


わ~い



セレネさん、BBQソース足りそうですか?


だいじょうぶだと思うけど・・ 足りなくなったら醤でもぶっかければ?


えーーーっ  なんですかそれ。



お魚はあるかにゃ~?


ミミさんのために、鰺も鮪も鰆も用意しましたにゃ。


にゃ♪



みんなが、それぞれ自分が食べたいものを勝手に焼いて、モリモリ食べる。


中庭一帯においしそうな匂が立ち込める。  ついでに煙も、もうもうとなり視界が悪くなる。



そしてみんなでワイワイ騒いで、楽しさ絶好調になった時に事件は起きた。



ヒューーーー   ドォオオオン


突然なにかが空から落ちてきて、大轟音とともに地響きが起きる。



わぁ  肉がーーー  野菜がーーー  トウモロコシがーーー


だ、だいじょぶよ  3秒以内なら全然いける


あ゛ーーー  肉がショリショリするー。



落ちたのは全部まかせろ~  ←メイア



あたしは、みんなが落ちて来たものにぜんぜん興味を示さず、ひたすら飲み食いを続けているのを見て唖然とする。



イタタ・・ また着地に失敗してしまったーー。


地面にぽっかり空いた穴から手が出て来て、あたしは貞子を思い出し、思わず ひっ と悲鳴を上げてしまった。


よいしょっ  続けて頭と白い服がズルズルっと這い上がって来た。  こ、これはやはり貞子?


あたしは、思わず後ずさりして、手に持っていたBBQ用の長い串を2本クロスさせて構えた。



あれっ?  あなたはラグエルじゃないですか。  どうしてここにいるんですか?


遠くで、けいちゃんにお肉を焼いてあげていたサリエルが、飛んでやって来た。



いかにも、わたしはラグエル。  他の天使の行いを監視する者。


そして神のご命令があれば、終末のラッパを吹き鳴らし、地上に過酷な天罰をもたらす者なり。



なんですと?  そのようなお方は、そうそうに天界にお帰り下さい!


あたしは、ラグエルを開いた穴に戻そうと足で頭を踏んずけて、グリグリしてやった。


あっ ああーーーっ  ちょっと!  天使の頭を踏みつけるとは、いい度胸ですね。 終末のラッパを吹き鳴らしてあげましょうか!


なんだ、この豆腐屋のラッパみたいなの!  あたしはサッとラグエルの首に下がっていたラッパをひったくった。


あああ 返して下さい!  それは、わたしの大切なものなのです。



どんな音が出るのか吹いてみよっと!


わーーーっ  ダメですよ!  この世に終末が訪れてしまいますって!




さて、またなんだかしようもない天使が舞い込んで来たようですが、これからいったいどんな騒動が巻きおこることか。

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