第416話 ◆捨て猫

◆捨て猫


今朝あたしは、いつもより早く目が覚めてしまったので、時間つぶしのために散歩に出かけることにした。


う~ん  朝早い時間の空気は、なんだかおいしい気がする~  ちょっと得した気分だわ。


ついでなので、城外まで足を延ばしてみようかと城門まで行くと、門の外に厚紙でできた箱が置いてあるのを見つけた。


なんだろう、この箱。


近づいて行くと、箱がガサゴソ動いている。


中になんか入ってる。  あたしは、そ~っと箱の蓋を持ち上げた。


みぃ~


およっ!  子猫だぁ。  うわ~ かわいい!


お前どうしたの?  捨てられちゃったのかな~?


みぃ~


そうでちゅか。 お姉さんの事がちゅきなのでちゅね~。


みぃ~ み・・ みぃ・・


きっとお腹が空いてるんでちゅね~  はいはい。 それじゃあ、いまお姉さんがミルクをあげまちゅから一緒にお城に行きましょうね~


こうして、早起きしたあたしは、かわいい子猫をゲットしたのであった。



お城の厨房にある、大きな冷蔵室からメガトン牛の搾りたてミルクを取り出して平皿に注いだ。


そのお皿と子猫を抱えて、自分の部屋に戻る。


はい、たくさんお飲み。  あたしは、床にミルクの入ったお皿を置いた。


すると子猫は、ピチャピチャとミルクを舐め始めた。


やっぱりお腹が減ってたのね。 ミルクはたくさんあるから、いっぱい飲んで大きくなるんでちゅよー。


・・・



数日後の夜。


今日の夕飯は、クリームシチューとフランスパンです。


やったー  あたしコリンのシチュー大好き!


なんだかアリシアに褒めてもらえるのって料理だけの気がします。 コリン君がボソッと言う。


ところで、みなさん。  最近ミルクの減りが激しいんですけど何でか知りませんか?


グボッ  ケホッ ケホ   あー驚いた。


ごめん、ミルクはあたしが飲んでる。


セレネさんだったんですか。 でもどうして?  セレネさんってメガトン牛のミルクって癖が強いから嫌いじゃなかったですか?


そ、それはほらっ。  あれよ、あれ。  女性は骨粗しょう症になりやすいって聞いたから、毎日飲むようにしたのよ。


それは、良い心がけですね。



セレネ、あんまり飲むと乳ばっかり無駄に大きくなるわよ! 


それを言うならアリシアは毎日50リッター飲みなさいよ。  ホウニュウ草より効果があってよ!


なによ。  イーーダッ!




それから一月後。


みなさん、冷蔵室から魚とか鶏肉とかが無くなるんですけど、誰か知りませんか?


グボッ  ケホッ ケホ   あー驚いた。


ごめん、それあたしが夜食で食べてる。


セレネさんだったんですか。 でもどうして?


いや、それは・・・  最近公務が忙しくってさ、夜中に部屋で片づけてたりするとお腹が減って・・・


そうですか。  言ってもらえれば、僕が夜食を作りますよ。


えー いや悪いし。  自分で何とかなるからいいや。


そうですか。 忙しいときは遠慮しないで言ってくださいね。


ありがとうコリン君。



・・・


その日の夜、セレネの部屋。



ねぇ、あなたどうしてそんなに大きくなっちゃたの?


それに、子猫が子猫ちゃんになるなんて・・・



うふふ それはママが美味しいものをたくさん食べさせてくれたからよ。


セレネのベッドの上には、某国のバット○ンに出て来るミ○キャットのようなグラマーな猫耳お姉さんが寝転がっていた。


にゃ~ご





こんな捨て猫がいたら僕も飼いたいよー!


で、気になる方は次回をお楽しみに。

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