第401話 ◆人間ピラミッド

◆人間ピラミッド


ニーナは抜群のスタイルを維持している。


とても自分の娘とは思えない。  まあ、ほぼ100%はシルフの遺伝子で、あたしが彼女に影響を及ぼしたのは身長くらいだ。


今回温泉に来た女どもの中で、順位をつけるなら


1位:ニーナ

2位:ヴォルルさん

3位:エイミー

4位:あたし  ムフフ・・

5位:ミミさん

6位:ティア

最下位:アリシア(JSだから比べるのは可哀そう)

番外:メイア(こいつは何にでも化けられる)


となる。 (ただしララノアが入ると全員順位が一つ下がる)



そして、これだけ ポン キュッ ポンの若い女が露天風呂に入っているのを知って、若い男どもが何も行動しないはずがない。


もともとこっちの世界は、混浴が普通なのだ。


だから女風呂を覗く事が悪いだなんて、これっぽちも思っていない。

                       ↑

                   親指と人差し指で1cmの隙間



そして、この温泉宿に泊まりに来ていた近場のやんちゃな若者たちが、密かに女用の露天風呂を覗こうとしていたのだった。


女湯を覗くには、真ん中にある混浴露天風呂から竹垣の一部を壊すか、竹垣に梯子でもかけて上から見るしかない。


しかし、彼らは驚くべきチームワークでこの問題を解決しようとしていた。


そう、その方法とは人間ピラミッドである。



だがこれは、最上部の一人のみが至極の思いを独り占めするという非効率な方法だ。


よって、誰が一番上になるかで若者たちは揉め始める。


スクールカーストや企業なら勤続年数とか役職とかが最上部の優先権を決める手段と成り得るが、ご褒美のおいしさがそういうものをいっさい排除し、彼らの魂を野生へと呼び戻した。 


よって、力の強さで最上部に登る者を決めるバトルロイヤルが始まる。


ドガッ ボスッ ガンッ ギャッ ガハッ ドォッ キュー ドスッ



うん?  何だか隣が騒がしいね。


きっとコリンが悔しがって、そこら辺の物にあたってるんじゃないの。


まっさかー コリン君はそんなことしないよー。


と言っているそばから、騒ぎはさらに激しくなる。


ドガッ ドガッ ドォッ  ドスッ


ガンガラガンッ



シーン



あっ、静かになった。  ←アリシア



隣りの露天風呂では勝者が決まったが、もはや全員が人間ピラミッドを形成できる状態ではなかった。


こうして、若者たちの「女湯を覗くぞ作戦その1」は、失敗に終わったのだった。


しかし、彼らの不屈の精神は諦めることを知らない。


すぐさま鼻血をぬぐいながら、次の「女湯を覗くぞ作戦その2」の会議が始まった。



と、その時。


さあ、そろそろ上がろっかー  ろっかー 


女風呂から非情な一言が露天風呂に虚しくこだまする。



うがあーー  若者たちの絶望の声が、地の底から沸き上がるように響き渡った。




ねえねえ、次はジャングル風呂に行ってみようよ~。


先頭を歩いていたアリシアが、振り向きながらジャングル風呂の方をゆび指してニッコリ笑う。


ははは お子ちゃまだね~ 


あたしも行きたいにゃ♪


あたしも~


ミミさんとメイアも相次いで、ジャングル風呂に行きたがる。


なるほど獣系はジャングルに魅せられるのかー  という事は・・・


やっぱり、猫耳ティアも行きたそうな顔をしている。



よしっ!  それじゃあジャングル目指して、レッツゴーだよ!


おおっう!



この声を聞いたゾンビ状態の若者たちが、みるみる復活して行く。


そう、今度は混浴ジャングル風呂なのだ。  つまり見放題ってことである。



うぉおーーーー!   うぉおーーー    ぅぉーー


今度は辺りに野郎どもの歓喜の声が、幾重にもこだましたのであった



ついに禁断の花園が解放されるのか・・・  結果は次回へ続く・・・

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