第380話 ◆葵さん来訪♪
◆葵さん来訪♪
伯爵である夫が、この国の裏側にあるという女王が支配する国へ出かけていった。
理由は国王から技術調査を仰せつかったと聞いたが、それは真っ赤な嘘であろう。
出かける際のアイデンの様子からも女が絡んでいるに違いない。
自分が嫁いで来てからも夫は気に入った女性がいれば、いかなる手を使ってでも手に入れようとする。
それを自分が人を使って女を抹殺するの繰り返しだ。
でも第二夫人だけは、この屋敷に仕えていたメイドであったため、その難を逃れられてしまった。
今回は決してそのような失敗があってはならない。
あたしは、複数名のアサシンを夫の旅先に派遣し、もし夫に怪しげな動きがあれば相手の女を即抹殺するよう命じている。
・・・
あーー 何だか寒気がする~。
セレネってば、誰かに恨みでも買ってるんじゃないの? 例えば、天使のスクルドとか。
この間のやつなら、だいじょうぶだと思うよ。 だって、殴り合いとか全くしてないし。
ふ~ん じゃあさ、ミミさんの鰺フライを黙って1個食べちゃったやつ?
あれは、あの時にシャー&手加減猫パンチで罰を受けたし解決済だって。
わかったわ。 ティアのパンツにおもちゃのウンチを置いたイタズラがバレたのよ。
いや、あれはアリシアがやれっていったんじゃん! あの後、犯人はアリシアだって言っておいたから違うよ!
なんなんですか二人とも。 お城の中で起きているどうでもいいような騒動の数々のほとんどは、二人の仕業だったんですね!
コリン君、違うの!
あれは、アリシアが悪いのよ!
あれは、セレネが悪いのよ!
へーー お互い擦り合いって、どんだけ子供なんですか。
・・・
それから数日後。
セレネ、葵あおいが来るってホント?
そうだよ、シルフ。 昨日葵さんから手紙が届いたんだ。 今度の飛行船に乗って来るハズだよ。
(ちなみに手紙も飛行船で届くようになったのでとっても便利になっている)
パンケーキ、おいしかった。 シルフがぺろっりと舌を出す。
そうだね。 早よ、食べりーーとか 懐かしいね。
バリうまかーー。
アハハ シルフ、記憶力いいね。
なんでも葵さんは、この国へ移民しようか迷っていて、今回はご主人と一緒に下見に訪れるそうなのだ。
それで、あたしが案内役を引き受けて、この国のいい所を見て回ってもらうことにした。
豊かな田園風景、広大な果樹園とワイナリー、完全放牧の牧場、魚介類が豊富な汽水湖、活気ある漁港・・・
王立図書館、温泉と温水プール、商店街や市場・・・
セレネ、神社は?
ああ・・ あれはやめておこう。
この国は、確実に豊かになっている。 これも国民が互いに助け合って一生懸命働いてきた成果だ。
葵さんたちが来るまでには間に合わないけれど、あたしはこのことを感謝すると共に、いつまでも忘れないよう国民の日を制定し祝日にしようと思っている。
・・・
そして2週間後。
今日は、飛行船がやって来る日だ。 途中、嵐で2日ほど到着が遅れたけど、ほぼ予定通りと言ってもいいだろう。
そして、その飛行船には葵さん夫妻も乗船している。
なので、あたしとシルフとティアでこれから飛行場に迎えに行くところだ。
ティアは、お城に来てから元気がないので、あたしが気分転換に連れ出したのだ。
飛行場から首都中心部までは馬車鉄道が整備されたので、往復にはそれを使う。
あたしもシルフも鉄道馬車には、初めて乗るのでワクワクしていた。
でも、いざ乗ってみると
なんだ、ただの線路を走る馬車じゃん!
期待ハズレ。
となってしまった。
鉄道馬車が飛行場に近づくと東の空に大きな飛行船が飛んで来るのが見える。
あれに葵さんが乗ってるんだね。
もうすぐ、葵さんのほわんとした長崎弁がまた聞けると思うと、あたしはちょっと嬉しくなった。
セレネは、同じ飛行船にエリージャ伯爵やアサシンが乗っているとは夢にも思っていませんが、大丈夫なんでしょうか?
次回以降のドキドキの展開に乞うご期待。
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