第373話 ◆太り過ぎはいけません

◆太り過ぎはいけません


セレネ 身長=161cm 体重=50kg  B:88 W:56 H:90


BMI=50kg÷(1.61×1.61)=19.3  でしたーー。


ただし、体重は計測したものでは無く、自己申告のものを使用しております。



へっ、うそくさっ!


なによ、アリシアはいったい幾つだったのよ!


あたしは、身長=138cm 体重=32kg  なので


BMI=32kg÷(1.38×1.38)=16.8  でしたーー。


ふふん どやっ!


へんっだ。  ぺちゃぱいが何をいってるの!  女の体はね、ポン キュッ ポンッ が理想なのよ!   わかるかしら!


あ、あたしだって、ちゃんと膨らんできたんだからね。  今に見ていなさい。  あたしが大きくなったらララノアお母さんみたいになるんだから!


はーー  それはちゃんと なれてから言いなさいよ!


イーダッ セレネのバーカ バーカ!



やれやれ、帰って来た途端にもうやってるんですか。  まあ、この方が賑やかでいいですけどね。


コリン君が呆れ顔をしている。


ところでセレネさん、夕食は何が食べたいですか?  


そうだねー  あっ、そうだ。 先にティアとかルイに聞いてあげてよ。


なんだかUFOが壊れてから元気が無いんだ。


なにしろティアなんか、アリシアより生意気ですっごい毒を吐いてたんだから。


へぇー そうは見えないですけどね。  わかりました、それじゃあティアさんとルイさんに聞いてみますよ。


・・・


一時間後。


セレネさん、この前ロロ君とお隣の島に行きましたよね。


うん、酷いところだったよ。  もう二度とあんな所には行きたくないよ。


それは困ったな。


なに?  どうしたの?


それが、ティアさんとルイさんに食べたいものを聞いたら、どうやらお隣の島に生息している動物がうまいらしくて、それをリクエストされたんですよ。


それで今日は無理だけど、明日か明後日なら作れるって言ってしまったんです。  すみませんけど隣りの島へ一緒に行ってもらってもいいですか?


えーーー  あの島に居る生き物って気持ちが悪いやつばっかりだったけどなあ。


う~ん 見かけだけでは判断できませんけどねー。


ところで、どんなやつが美味しいんだって?



なんでも足が異様に長くてその上に小さ胴体があって目玉がトンボみたいな鳥の肉が絶品なんだそうです。


おぇっ  あいつか・・・


セレネさん知ってるんですか?


けっこう不気味だよ、そいつ。


へぇー  でも、人を襲ったりしないって言ってましたよ。


う・・うん。


でも、それだけだったら、うちの農場でも美味しい鳥がいっぱいいるじゃん。


あっ、あと なめくじみたいな体に人の顔に似た目鼻と口がついてて、鳴き声がひとの笑い声に似てるやつも刺身で食べると病み付きになるそうです。


あたし、なんだか気分が悪くなって来た。


えーー  僕はどうすればいいんですか?


こういうのは、ニーナとかメイアとかサリエルとかリアムなんかが適任かな・・・  アハハハ・・・ ハァ


なんですか、言い出しっぺのくせにそのやる気のなさは!


ごめん、あの島だけは無理!  さっきの中から、人選して一緒に行ってもらってくれる。


わかりましたよ。 もうセレネさんには頼みません!


・・・


そして、帰って来たコリン君は、げっそりとヤツレた顔をして、あたしのことをじーーっと見ていた。


その目は、なんで無理やりにでも止めてくれなかったんだと訴えていた。


コリン君と隣の島へ同行した憐れな犠牲者も顔を見ればすぐに当てることができた。


まあ、頼みやすく頼まれたら断らないやつだったけど。



ただ、驚いたことに、あの気持ちの悪い生き物たちは確かに美味かった。


コリン君の料理の腕がいいのもあるけど、刺身は料理といっても切るだけだし、あの臭みも全くしないし絶品だった。


例えるならマグロの刺身を10とすれば、なめくじは100というところだ。



あとは、あらゆる調理法でバリエーションが凄いことになっている。


そして、双子の宇宙人の食欲はドラゴン並みだった。  いや、メイアも唖然としていたくらい凄かった。



コリン君も二度とあの島に行きたくたかったようで、狩をどんだけしたのかというくらい大量に獲物を獲って来たようで、あれから毎日ご馳走が食卓に並んだ。


あたしは理性で、食べる量をなんとかコントロールしたが、ティアの食欲は底なしだった。


ティアが大食い大会にでれば、優勝間違いなしだ。



そして、ひと月後。  ティアは初めて会った時の面影が全く無いくらいの別人になった。


昔の免許証の写真を見せてもらって、これ誰っていうやつと同じだ。



ティアーー BMI計算してやるから、こっちに来いよ。


イヤーーー


ちょっとした、あたしの復讐がこれで済んだ瞬間である。




さて、ティアとルイも元気が出たようなので、次回へ続くのであった。

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