第374話 ◆生け捕りツアー
◆生け捕りツアー
ティアの髪は薄いピンク、ルイの髪は冬瓜緑(トンクワリュー)色だ。
いままで、黒髪とか金髪とか茶髪など割りとよく見る髪色しか見てこなかったので、これは新鮮ではある。
何と言ってもコミケなどで見るカツラや染めたものと違って、モノホンだ。
ねえ、ティアの髪の色ってステキだねー。
あたしと一緒にダイエット中のティアにそう言うと珍しく はにかんで可愛らしい。
ティアとルイは、遠い星から移住できる星を調査するために、この星にUFOに乗ってやってきたのだそうだ。
移住先の調査で、なんであたしの体脂肪率なんか調べたんだよと問いただしたら、この星の生物の栄養事情調査の一環だったらしい。
何も栄養満点のあたしをピンポで捕まえなくたってよかっただろと畳み込んだら、ノルマの最後の一人だったので誰でもいいから計測して早く帰りたかったとゲロった。
こういうところで、あたしはいつも運が悪い。
まあ、済んでしまったことをいつまでもグチグチ言っても仕方がないので、忘れることにした。
それで、ティアの毒吐きキャラは、異星人に舐められたくなかったので演じていたらしい。
でも、普通にあれだけ演じられれば大女優の域だし、根底にはきっと自分のキャラが滲み出ていたのでは無いかとあたしは疑っている。
・・・
ティアたちのリクエストで、コリン君がたいへんな思いをして隣の島から獲ってきた食材がとうとう底を突いてしまった。
ゆえに食卓には以前からの食材でつくったご馳走が並ぶが、みんなの顔は少々曇っている。
だれも口には出さないが、もっとおいしいものが食べたいオーラがドクドク出ている。
そして、あたしはある日とうとうキレテしまった。
みんな、せっかくコリン君が一生懸命作ってくれているのにお通夜みたいな顔をして食べるなんて酷くない!
だって、忘れられないのよ。 あのおいしさを知ってしまったら、もう物足りなくて・・・ ←アリシア
そうだぜ、例えるなら俺が作った料理と一流レストランの料理を比べてるみたいなんだ。 ←リアムだぜ
コリンさまには申し訳ないのですが、あたしも同意です。 ←サリエル
う~ん たかが食材でこんなにも・・・
よし、それならばうちの農場で飼育できるかやってみようか!
それいいわ! セレネ、珍しく頭いいじゃない。 見直したわよ! ←アリシア
グッドアイデア~ ←メイア
で、問題はここからなんだ。
ごくり ←前回コリン君と食材調達に行ったヤツ
だれが、その美味しい食べ物になる動物を生け捕りに行くか決めなければいけないのですが・・・
あたしは、ぜったいにイヤ! ←当然セレネ
ずるい! ←アリシア
いやいや、あそこに行くくらいなら、あたしはいままでの料理で十分なんで行きません!
僕も料理するのはいいですけど、セレネさんと同じで、あの島にはもう行きたくありません。
はい、それじゃ、もう一度あの料理が食べたい人は手をあげてください。 その人たちで、隣りの島へ生け捕りツアーに行ってもらいます。
ツアーって、観光ってこと?
いいえ、生け捕り体験が漏れなくできる得点がついてるキャンプってところです。
ティアとルイは、あんだけ食べたんだから無条件参加でいいわよね。
あの~ 前回行った人はPASSしてもよろしいでしょうか。
なんだ、前回はサリエルが行ったのかー。 そりゃ気の毒だったねー。
あたしとコリン君とサリエルの様子を見た挙手をしたメンバーたちが、何かを感じ取ってざわつき始める。
パンパカパーン それでは、生け捕りツアーのメンバーを発表します。
まずは、隊長にアリシア、副隊長はリアム。
生け捕りチームのリーダーはミミさん。 にゃ?
メンバーは、ティアとルイ。
やった、僕たち一緒だよティア♪
キャンプ設営チームのリーダーはニーナ、メンバーはメイアとサリエル。
ええっ、あたしもですか?
人手が足りないので、お願いします。 サリエルが不在中、けいちゃんはあたしが面倒をみるので安心してください。
ちっ 謀ったな!
あーー サリエルは天使なのに悪魔っぽいーー!
いや、ついですよ、つい。 やなことが二つ重なれば、天使だって・・・
それから農場の家畜小屋の拡張と受け入れ準備は、残った人でやっておくので、たくさん捕まえて来ていいからね。
なお、今回は農場で飼育するため、捕獲した動物が何を食べているかとか、どんな環境で生活しているかなども調査して来てください。
調査に関しては、ティアとルイが専門知識がありそうなので、よく話しを聞いて従うように。
それでは、生け捕りツアー参加諸君の健闘と幸運を祈る。
以上、解散!
ふひひ うまく行ったぜ! ←セレネ
さて、まだ隣りの島に行ったことが無いサリエル以外の参加者は、これから地獄を見ることになるのである。
この悲惨な状況は、次回でメンバーから語ってもらおう。
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