第362話 ◆セレネ発見される

◆セレネ発見される


ママもお母さんも無事みたいなんですけど、どこにいるのかが特定できません。


なんだ、生きてたのね。


アリシアさん、言っていいことと悪い事がありますよ!


ごめんなさい。 いまのはあたしの失言だわ。 嬉しかったのでつい冗談言っちゃった・・・


でも居場所が分からないと動きようがないですね。  コリン君が心配そうな顔で言う。


いまのところ、分身たちからも有用な情報は入ってきてないわ。 困ったわね。


ヴォルルさんの顔もだんだんと曇る。


・・・


その頃セレネは、UFOがあまりにも高速なため、すでに拉致された地点から遥か遠く離れた場所にいた。


すごろくで言えば「振出しに戻る」でスタート地点、つまりエリージャ伯爵領に今まさに捨てられようとしていたのだ。


ルイお兄さま、この辺でいいと思います。


OK、ティア♪  それでは、ポイッとな!



はーれーーっ!  ずってん、ゴロゴロゴロ・・・


っ、イテテ・・  乱暴だなーー  いったいどこの誰なんだよあいつら?


ってか、ココはどこだ?  



あたりを見回すが森の中のようで、木しか見えない。


なんか食べられそうなものがないかなー。


自分がどこの誰だかは、いったん置いておくとして、今は空腹をどうにかしたい。


グーーー  盛大にお腹が鳴る。


それもそのはずで、セレネはUFOに連れ去られてから5時間、港を出てからは10時間以上何も食べていなかった。


お腹空いたよーーー


セレネの腹ペコを訴える声だけが、しんと静まり返えった森の中に響き渡った。



・・・


シルフとブラックはセレネがUFOの中に吸い込まれると同時に、セレネから離れ大きな装置の裏側に隠れた。


そのあとセレネは何やらいろいろ調べられているようだったが、差し迫った危険はなさそうだったので二人は様子を見ることにした。


なぜなら迂闊に自分たちが飛び出せば、事態が悪化するかもしれないからだ。


でも、変な装置を頭に乗せられた途端、セレネが怖がって騒いだためシルフとブラックは助けようとセレネの頭の後ろから装置に手をかけた。


しかし、そのタイミングでルイが記憶消去装置のスイッチを押したため、シルフもブラックもその巻き添えとなる。


装置を頭にかぶっていたわけでは無いが、その電撃はすさまじく二人もそのまま気絶してしまった。


そしてセレネを解放する際、ルイが椅子から外へセレネを蹴り飛ばしたので、運よく二人ともセレネと一緒に外へ飛ばされたのだが、この時点では二人ともまだ気絶状態だった。


・・・


セレネは、宇宙人の兄妹に体の隅々まで調べられたのだが、その時に色々な薬を打たれていた。


検査薬なので毒ではないが、体に痺れが残っていたり、頭がぼおっとしたりと副作用がそれなりに出ていた。


そして、腹ペコと相まってとうとう森の中で動けなくなってしまっていた。


・・・


あら、姉さん。 人が倒れているわよ。


まあ、たいへん。


ちょっと、あなた。 大丈夫?


二人が倒れている女性を引き起こすと、


ちょっと、あなたセレネさんじゃないの?  しっかりしなさい!


あっ、大きな肉まんだ~。


肉まんじゃなくて、フネットよ!  覚えてる?  ほら、サステマもいるわよ。


ああ、こっちは餡まんだーー。


なんだか様子がおかしいわ。  早く家うちまで運びましょう。


そっちのキノコの籠は、あたしが持つからこの娘をお願い。


わかったわ。 


そう言うとサステマは、セレネを軽々と担いで歩き出した。


まあ、彼女は身長190cmの大女である。 いくらセレネが太っていても問題はないのだ。



さて、とんでもなく遠くで発見されたセレネであったが、いったいこれからどうなってしまうのだろうか?


気になるけど次回へ続く・・・

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