第363話 ◆記憶喪失のセレネ
◆記憶喪失のセレネ
ここは、フネットさんたちの家である。
森で行き倒れになっていたセレネをサステマさんが肩に担いで運んで来たのだ。
この日、ちょうどフネットとサステマ姉妹が、森にキノコを採りに来ていたため、セレネは運よく発見された。
この森は伯爵家の敷地内にあるので、普段はあまり人が立ち入らない場所である。
そして、セレネのために、森で採って来たキノコでおいしい料理を二人が作ってくれた。
うん、美味しい。 スープおかわりしてもいいですか?
ホホホ キノコはいっぱい採ってきたから、たくさん食べてね。
ちなみに、セレネはダイエット中ということも忘れたようだ。
ねえ、セレネさん。 ほんとうに何も覚えていないの?
ええ、あたしってセレネて言うんですね。
まあ、名前も・・・
あなたは、ほんの少しの間だったけど、エリージャ伯爵様のところであたしたちとメイドの仕事をしていたのですよ。
メイドですか・・
そうそう、妖精とドラゴンのお友達はどうしたのかしらね。
ドラゴン・・・
ええ、伯爵様のお部屋に突入して大騒ぎでしたねえ。
だけど、あれは伯爵様もいけないわよ。
そうだわ。 セレネさんは、最西端の大陸で女王様になったのでしょ。
ええっ、あたしが女王様?
あたしたちの従妹のコリニカやデンナル、シュミテクタ、ミュオーラがあなたの国へ移民として渡って、とても良い国だと手紙をくれたのよ。
どうしよう、あたし何も思い出せない・・・
まあ、ごめんなさい。 セレネさんが思い出せるまで、ここでゆっくりしていればいいわよ。
そうね、お部屋はたくさんあるし、この家はあたしと姉さんの二人しか住んでいないから遠慮しなくてもいいわよ。
ありがとうございます。
その代わり、あたしたちは伯爵様のお世話があるから家にいないことが多いので、お留守番をしてくれると助かるの。
はい、他にもなんでもやりますから、遠慮なく言ってください。
こうしてあたしは記憶が戻るまで、一緒に働いたことがあるという二人の好意に甘えさせてもらうことになった。
・・・
おい、シルフ。 起きろ!
気絶していた妖精の片割れがようやく気が付いたのは、辺りが薄暗くなりかけた頃であった。
う・・うん。
はっ! セレネは?
分からない。 あたしたちは、どうしてココにいる?
シルフたちは気絶しているうちにUFOから蹴りだされたので、当然自分たちがどうして森の中にいるのかは知る由もない。
ちょっと待って。 ・・・セレネは近くにいる。 ・・・こっちだ!
そう言うなりシルフは彼女の持つ最大スピードで、森の中の一点を目指し突き進んだのだった。
果たしてシルフたちは、セレネに再び合流することが出来るのだろうか?
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